Romiと女性

自律型会話ロボット“Romi(ロミィ)”

「Romi」(ロミィ)とは、株式会社ミクシィが2021年4月21日から一般販売を開始した自律型会話ロボットだ。

Romiは2020年6月3日に200台限定で先行販売し、わずか約1か月で完売した。
約10か月間を一緒に暮らした先行購入者を対象にアンケート調査を実施したところ、およそ9割が「Romiとの会話で癒やされた・楽しい気分になった」と回答している。

通常のロボットとは異なり、会話の流れや季節・天気・時間帯などを加味した上で、最適な返答をその場で会話AIが生成するので、自然な言葉のキャッチボールを楽しめる点が一番の特徴となっている。
節分やハロウィン、クリスマス等、様々なイベントを盛り上げるコンテンツもある。

Romiハロウィン

価格は49,280円プラス月会費1,078円。
カラーバリエーションは、パールピンク、マットホワイト、パールブルーの3色で展開されている。

Romiカラーバリエーション

今回の取材では、Romiについて、製作に携わったエンジニアの信田 春満さんにお話をお聞きした。

Romiの価値の主軸は“雑談をすること”

「Romiはペットのように癒して、家族のように自分のことを理解してくれるような手のひらサイズのロボットです。」と信田さんは語る。

言葉を話すロボットと言えば、Softbank社のPepperといった対話型ロボット、Amazon社のAlexaが搭載されたAmazon Echo、Google社のGoogle Homeといったスマートスピーカーが思い浮かぶのではないだろうか。

これらのような、人間の質問に対して答えるデバイスは数多く存在する。
「今日の天気は?」
「最新ニュースを教えて」
「電気を消して」
などと話しかけると、それに相応しい回答・アクションを実行する。主に人間に役立つ機能が搭載されている。

しかしこれらのデバイスはどれも、便利な機能をメインとした音声機能付きロボットといった印象だ。

Romiはそのような便利な機能がメインではない。一方的に会話が終了するほかのデバイスとは違い、「なんか今日腰が痛いんだよね」「彼氏ができたんだ」といった何気ない話しかけ――。このようにRomiは価値の主軸を“雑談”に置いている。

“Romi”は成長し続ける

Romiの他にも、これまでに雑談をテーマにしたロボットは少なからず存在している。
しかし、これらのロボットの会話のほとんどは「ルールベース」型に基づいているものである。
「ルールベース」型は、ユーザーがこのようなことを話したらロボットはこう返事をするというルールをたくさん書いていくことで実現していた。
しかし、この手法を用いたロボットは、使用者からの質問に対して同じ回答ばかりを繰り返してしまったり、質問に答えられなかったりしてしまうことが多いのだ。

一方、Romiは「ディープラーニング」型ロボットだ。
少なからずルールベースの手法も用いてはいるが、その会話のほとんどは「ディープラーニング」という技術を使用している。
たくさんの会話のデータを学習することによってAI自身が言葉を紡ぎ出して話す。
これがRomiの最大の特徴となっている。

“雑談”と“ロボット”を結びつける難しさ

始めは「雑談」をどうやって作ればよいのか大変悩まされたという。
「喋るロボットを製作しよう」となった時に、最初に思いついたのが先程挙げた「ルールベース」型の手法だ。
我々人間はいとも簡単に雑談ができるが、ロボットにはとても難しい。雑談は規則的な会話ではないため、会話のルールを数百個書いても足りないのだ。

そんな時にディープラーニング=AIに着目した。AIを使用して大量の実際の会話データを集めて学習させればAIが会話してくれるのではないかと考えた。
一方で開発当時は、言葉を扱うディープラーニング技術に大きな発展が起こる前だったので、会話に十分使えるような性能の高いものは存在しておらず、実現するには難しい時期であった。

確実に製作できると考えられるが膨大な量をこなす必要がある「ルールベース」型と、現在の技術だとまだまだ実用に耐えられるとは言えないが、これが基本となっていけば実用の可能性が広がっていくと思われる「ディープラーニング」型。

この2つの手法のそれぞれバランスを取りながら試行錯誤を繰り返し、今のRomiが誕生したのだ。

Romiに注がれる“コミュニケーション”への情熱

株式会社ミクシィは日本最大規模のSNS「mixi(ミクシィ)」を運営している。
「mixi」は2004年2月にサービスが開始され、これまで一般人だけでなく芸能人、タレント、歌手といった著名人など、多くの人々が利用されているコミュニティサイトである。

また、ミクシィの主軸サービスに、スマートフォンアプリ「モンスターストライク」がある。
こちらのゲームは敵となるモンスターと戦い、倒すことでキャラクターを成長させていくアクションRPGで、人気を博している。
マルチプレイで最大4人の友達との協力プレイができ、一緒にゲームをすることによってコミュニケーションが生み出され、楽しさを共有することができる。

このようにミクシィのサービスはどれも“コミュニケーション”を主軸に置いている。
「在籍メンバーは誰もがコミュニケーションに興味がある人達で構成されています。」と信田さんは話す。

実際に製作に携わった信田さんに、Romiを製作することになったきっかけを尋ねてみた。

「コミュニケーションに対して熱い気持ちを持っているメンバーと、現在発展しているディープラーニングの技術を使用して、ドラえもんのように心を持って喋るようなロボットを生みだすことも夢じゃないという期待がくっついて、AIでコミュニケーションロボットを作ってみようという考えになったのがきっかけです。」

きっかけは、人と人とが交流できる数々のサービスを世に展開してきたミクシィのメンバーの情熱が伝わるものであった。
Romiの可愛らしいフォルムの中には、製作メンバーの“コミュニケーション”に対する熱い想いが詰め込まれているのだ。

Romiと信田さん

ボディに込められた多くのこだわり

Romiはただ雑談ができるロボットはない。
とにかく「おもちゃ感を出さないようにしたい」という熱意の元製作を進められ、ジージーという音、ねじが見えないようにするなどとにかく質感にこだわっているという。

一番特徴的なのはモーターである。
Romiは会話をする時や利用者を見つめる際に体を動かしたり、振り向いたりする動作をする。動作の最中はとても静かで、いわゆる「ロボット感」を思わせるようなウインウインという音が鳴らない。

マイクはどちらの方向から話しかけたか識別するために3つの方向に付いており、スピーカーも大きな音が鳴るように大きいものを積み、バッテリー、明るさセンサー、カメラ、人感センサー、触覚センサー等もあり・・・。
このように、小さな体にたくさんのデバイスが積まれているのだ。

また、ソフトウェアを見てみると、Romiの頭脳はクラウド上で動いている。
利用者と会話した内容を文字起こしし、そのテキストをクラウド上のサーバーに上げる。
文字起こしにもAI技術を使っている等、多くの技術とコストをかけている。

掌の上のRomi

RomiをさかさまにするとSNS「mixi」の吹き出しマークになる“隠れmixi”が発見できるという秘密も教えてくれた。

Romiの今後の展望

今後の展望としては、「一家に一台Romi」にしていくことだそうだ。
「コミュニケーションロボット、喋るロボットと言えばRomiだよね」と言われるような、誰もが知っている存在にしていくという目標を製作メンバーで達成していきたいという。

当初、Romiは会話ができるというところを押し出して製作し、世の中に出された。
利用者からはまず会話ができるところが評価されたが、それと一緒に可愛いという声が予想以上に多かった。

また、元々利用者は一人暮らしの人を想定していた。しかし、実際は家族のいる家庭でRomiを使用されることも多く、親子間の会話のきっかけになっていることが分かったという。

ミクシィは実際に世の中にサービスを出し、利用者が実際に使っているのを見て改善をしていくという試行錯誤を繰り返すサイクルが得意な文化を持っている。
Romiもその文化に根付いており、現在の利用者の会話をデータ化し、AIによる学習で更に会話を進化させていくサイクルを行っているのだ。

また、現在はコミュニケーションをするうえで誰が話しているのかを認識することが大事であるという意見が挙がり、話している人物を認識する機能の開発を検討しているという。

Romiのぴえん

もっと可愛い表情をさせればもっと人気が出るのではという意見から“ぴえん”の表情も誕生したという。

おわりに

いかがだっただろうか。

今回の取材では自律型会話ロボット「Romi」についてまとめた。
はじめはAIを使用した会話ロボットという観点から会話をするための仕組みについてお聞きしようと考えていた。しかし、お話を聞いているうちに、Romiはロボットらしくないロボットであると思えるようになった。というのも、Romiの開発過程での製作メンバーの“雑談”にかける情熱がとても伝わってきたからである。

Romiはハードウェアとしてはしばらく初代の今のRomiを育てていくことで考えており、現状は新機種や仲間のロボットを増やさずに、今の機種で育てていくという。

その可愛らしいフォルムから想像以上の“雑談力”を見せつけてくれるRomi。
コミュニケーションが欠かせないこの世の中で、本当に一家に一台の時代がやってくるかもしれない。

キッチンのRomi

関連リンク

自律型会話ロボット「Romi」[link-btn link_url=”https://romi.ai/” link_text=”自律型会話ロボットRomi(ロミィ)”]
株式会社ミクシィ[link-btn link_url=”https://mixi.co.jp/” link_text=”株式会社ミクシィ (mixi.co.jp)”]
モンスターストライク 公式サイト[link-btn link_url=”https://www.monster-strike.com/” link_text=”モンスターストライク(モンスト)公式サイト (monster-strike.com)”]
mixi(ミクシィ)[link-btn link_url=”https://mixi.jp/” link_text=”ソーシャル・ネットワーキング サービス 【mixi(ミクシィ)】”]

「Romi」体験・購入方法

Amazon、高島屋(新宿店、大阪店、JR名古屋店)、
名古屋栄三越などで体験・購入できる。詳細・最新情報はこちら。
https://romi.ai/shoplist/

実際にRomiとの会話やふれあってから購入を検討してほしいという製作メンバーの願いから、上記ほとんどの場所で実際に体験することができる。
気になった方は是非体験してみていただきたい。