Withコロナ時代を見据え、「非接触」「非対面」を取り入れたサービスを行うために、ロボットが注目されている。特に外食業界では、すでにロボット導入が進んでおり、店舗内の案内係や飲食物の配膳係としてロボットを活用する企業も多い。
そこで、アームロボットや搬送ロボットなど協働ロボットを用いたロボットサービスを展開するロボティクス・サービス・プロバイダー、株式会社QBIT Robotics(本社:東京都千代田区、以下:QBIT Robotics)の代表取締役社長 中野浩也氏と常務執行役員兼CTO 広屋修一氏にお話しを伺った。

QBIT Roboticsが取り扱うロボット達と広屋氏(左)と中野氏(右)

QBIT Roboticsについて

QBIT Roboticsは、2018年1月に創業、人と共に働く”協働型ロボット”を使ったロボットサービスを展開するスタートアップ。
大手旅行会社エイチ・アイ・エスが運営する”変なカフェ”を手掛け、実店舗におけるロボット実装の経験を持つエンジニアやICT業界で長年経験を積み、IT知識豊富なブレーンが中心メンバーとなっている。
外食産業や各種エンターテインメント産業をはじめとするサービス業界に向け、協働型ロボット活用を提案。生産性向上や効率化を追い求めると共に、人とロボットの最適な関係を模索し、人とロボットが協働する楽しい社会を目指している。
現在、取り扱っているロボットはアームロボット、搬送ロボット、コミュニケーションロボット。
2020年2月には、QBIT Roboticsが提供するロボットサービスの「頭脳」を担う、画像解析とAIを用いた発話エンジンから構成されるソフトウェア「おもてなしエンジン」にて、特許を取得した。

QBIT Roboticsが提供するロボットサービス

QBIT Roboticsが提供しているロボットサービスは4種類。
アームロボット、搬送ロボット、コミュニケーションロボットと、それらを連携させるロボット連携サービスである。

アームロボット

現時点では取り扱うアームロボットは、Rethink Robotics社Sawyerと Universal Robots社UR5/UR5eが多い。
ロボットメーカーは異なるが、どちらもQBIT独自開発のアプリケーションによってロボット制御を行っている。UR5の方が、動作スピードが早く、動作音も小さい。

左:Sawyer  右:UR5

Sawyerは株式会社エイチ・アイ・エスが運営する「変なカフェ」(東京都、渋谷)、UR5は、ハウステンボス株式会社が運営する「変なカフェ ハウステンボス店」(長崎県、佐世保市)に導入されている。

コーヒーを淹れてるUR5。途中で豆の入ったフィルターを揺らすなど、細かい動きも見せる。この揺らす動きや、豆の蒸らし時間などバリスタが監修している。

両ロボットは、コーヒー豆を蒸らしている間に、使い終わったドリッパーを洗ったり、注文が溜まっているときには、洗い物よりもコーヒーを淹れることを優先させたり、状況に応じて適切な作業を行えるように制御されている。これらのロボット制御はQBIT Robotics独自の「おもてなしコントローラー」という基盤を用いているため、仮にロボット自体を変えたとしても、同様の動き、同作業を行わせることがが可能だという。
ロボットが操る調理機器を変えれば、ビールやサワー類、パスタなど、様々なメニューを提供できる。
また、ロボットは接客も可能。QBIT Roboticsの「おもてなしエンジン」は、カメラと連動し、お客様の年齢、性別、表情を認識。同エンジン内のAIが、お客様が「笑顔になった」接客や「購買に至った」接客を良い接客と評価し、日々学習し、接客スキルを向上させていく仕組みとなっている。

搬送ロボット

搬送ロボットは、天井に貼られたマーカーを赤外線センサーで感知することで、自身の位置をピンポイントで把握し、目的地まで自律走行する。障害物も検知でき、人や物を避けながら走行することが可能。
現在、THE GALLEY SEAFOOD & GRILL(東京都世田谷区)においてサラダバー係として活躍し、配膳を行っている。来春には、メーカーの異なる搬送ロボットを複数台用いた、館内物流の実証実験を大規模オフィスビル内で行う予定。
THE GALLEY SEAFOOD & GRILLで、サラダ配膳係として活躍する搬送ロボット

コミュニケーションロボット

コミュニケーションロボット「Kebbi Air」は、すでに台湾で6,000台の導入実績がある。台湾ではAI教育用ロボットとして教育機関にも導入されている。日本語、英語、中国語などの言語に対応。機能にはコミュニケーションロボットとして必要な音声認識、チャットボット、画像認識などのAI機能を搭載。センサーにはタッチセンサーや人感知センサーなどを搭載し、12個のAIサーボモーターにより滑らかな動きが可能。
QBIT Roboticsでは、「Kebbi Air」の顔や手をフルに用いた豊かな表現力に魅力を感じ、オフィス等での受付係や店舗でのオーダー係としてのロボット活用を提案している。また、新型コロナウイルス感染拡大防止策として、「Kebbi Air」と連動した体温検知近々提供開始する予定。
Kebbi Air

ロボット連携

QBIT Roboticsでは独自開発の簡易言語(ロボットの制御や発話を司るソフトウェア)を有しており、ロボットのメーカーや機種に依存せず、様々なロボット間の連携が可能。
QBIT Roboticsはすでにアームロボット・搬送ロボット連携ソリューションの提供を開始しており、アームロボットが荷物の判別や仕分けを行い、荷物を搬送ロボットに設置。搬送ロボットは予め設定された目的地まで搬送する。来春には、同ソリューションを用いて、森トラスト社所有・管理ビルで実証実験を行う予定だ。
さらに、コミュニケーションロボット「Kebbi Air」と連携。Kebbi Airに商品を注文すると、アームロボットが搬送ロボットにオーダーされた商品を載せ、搬送ロボットがお客様テーブルなど指定された場所まで自動で搬送を行うことも構想中だという。

QBIT Roboticsが描くロボットサービスの新しいカタチ

創業以来、実店舗でロボット実装経験を重ね、スタートアップとして躍進してきたQBIT Robotics。
代表取締役社長 中野浩也氏と常務執行役員兼CTO 広屋修一氏に今後の展望を伺った。

――今後も飲食業を中心にロボットの展開を進めていくのでしょうか
中野氏「ロボットアームに関していえばそうです。今までは実験的に導入される企業が多かったですが、コロナをきっかけに本格導入を検討される企業が増えており、今後は当社の事業の柱として展開を加速させていきたいと考えています。これまでの経験から、ロボットが取扱いやすいメニューや、働きやすい設備・環境などを用意すれば、ロボットだけで多くの作業を担えることがわかりました。特に養老乃瀧さんとの実証実験では、ロボットがドリンカーとして働くというだけでなく、ロボット特有の再現性から、一度丁寧なドリンク作りを覚えさせると、ドリンクをこぼす心配もなく、清掃の手間が減るといった経費削減の副次的効果もあるとわかりました。
現時点では、アームロボットは全ての調理機器を扱える訳ではないため、提供メニューに制限があります。が、今後はセントラルキッチンの役割を拡充させることなどで、この点は解決できるでしょう。QBITの使命は、ロボットが活躍できる環境を整え、サービス業でロボットの普及を推し進めることだと思っています」

広屋氏「搬送ロボットは来春、森トラスト社所有または管理の大規模オフィスビルで、館内物流の実証実験を予定しているように、飲食店以外でも様々な場に活用していく予定です。エレベーターの制御システムは各メーカーで独立しており、搬送ロボットとのシームレスな連携は難しいため、そこは人の手を介在させて解決するつもりです。我々QBIT Roboticsは「人とロボットが協働する、楽しい社会」を目指しており、 “ロボットができないことは、人がすればよい”と考えています。きっと何年かすれば、エレベーターの制御システムの方がロボットに歩み寄り、対応するようになると思います。」

――ロボット連携以外に、今後の課題としてどのようなことがありますか?
中野氏「今はロボットSler※としての側面が強いですが、我々はロボットサービスプロバイダーなので、今後はロボットの台数を稼ぐビジネスモデルではなく、ロボットプラットフォームを事業として展開していきたいと考えています。
ロボットのSlerとしての今と、ロボットプラットフォームという理想をつなげていきたいと考えています」

※Sler…システムの構築や導入など、システム開発のすべてを請け負っている企業のこと

広屋氏「運搬ロボットなど移動系ロボットサービスの提供内容を拡充させ、サービスレベルを上げていき、様々な業界へ提供していきたいです。僕の夢ですけど、ロボットだけでなく、ソフトウェアも引き続き開発し、会話しただけで物を買いたくなっちゃうマーケティングロボットを作れたら、凄いことになるのではないかと思います」

――最後にロボット業界への想いをお聞かせくださいますか
中野氏・広屋氏「ロボットの導入には、法律の問題や課題が多くあります。アームロボットを店舗に導入した際も、保健所のチェック項目がロボットに適応されるのかなどの課題がありました。このようなロボット導入の壁となる課題を解決できるよう、我々もロビー活動を続けています。
今、世界のサービスロボット市場を牽引するのは中国ですが、日本のサービスロボット市場を開拓するものとして、日本のロボット全般を盛り上げていきたいです」

会社概要

会社名株式会社QBIT Robotics
所在地〒164-0003 東京都中野区東中野1-26-4 ABパレス
URLhttps://www.qbit-robotics.jp/