株式会社シャンティが北里大学と共同で開発している「上肢障害者向けMixed Realityリハビリテーションシステム」が、さがみロボット産業特区の2019年ロボット実証実験支援事業として採択された。
本システムは、実空間上に仮想の物を映し出すことができる Mixed Reality(複合現実)の技術を活用し、欠損部分の仮想の腕等を映し出すことで、幻肢痛患者や脳疾患患者の痛みの緩和や可動範囲の改善等が見込むものである。

シャンティは「引き続き最新のテクノロジーを用いた運動やリハビリテーションの社会実装を進めていきます。」としている。


以下、プレスリリース引用

株式会社シャンティが北里大学と共同で開発している「上肢障害者向けMixed Realityリハビリテーションシステム」が、さがみロボット産業特区の2019年ロボット実証実験支援事業として採択されました。本システムは、実空間上に仮想の物を映し出すことができる Mixed Reality(複合現実)の技術を活用し、欠損部分の仮想の腕等を映し出すことで、幻肢痛患者や脳疾患患者の痛みの緩和や可動範囲の改善等が見込まれます。 北里大学とシャンティは過去3回にわたって本実証実験事業に採択され、今回で4回目の採択となります。シャンティは引き続き最新のテクノロジーを用いた運動やリハビリテーションの社会実装を進めていきます。

1.実証実験の背景

ヘッドマウンドディスプレイ(HMD)型Virtual Reality(VR)デバイスが普及したことにより、VR技術は様々な方面で利用されてきています。医療分野では、VR技術によって視覚などの感覚情報を利用者に与えることで脳活動にも影響するのではないかと研究が行われており、治療への応用が検討されています。特に脳に異常が発生している切断による幻肢痛患者、脳卒中患者へのVR技術を使用したリハビリテーションの効果が報告されています。

これらの研究の多くはVR環境(すべてが仮想の環境)で行われていましたが、マイクロソフトのホロレンズ開発パートナーである株式会社シャンティと北里大学高平研究室では、ホロレンズ*1で実装されている現実環境と仮想環境を融合するMixed Reality(MR)技術によって、現実空間上に仮想のモノを入れ込む技術を用いて、必要なモノだけを仮想的に映し出し、動作をよりイメージしやすくし、VR技術よりも活動が低下していた脳領域の活動を効果的に回復させる可能性を検証するアプリケーションに対する特許を出願(特願2019-118957)し、開発をスタートしました。

2.アプリケーション概要

本アプリケーションは、上肢欠損した方に発症する幻肢痛(無いはずの欠損部に痛みを感じる病態)の対処を緩和するためのアプリケーションです。幻肢痛ではなくなった腕の動きを脳へ再学習させる事が疼痛緩和につながると考えられています。MR技術を取り入れた本アプリケーションを利用することで、実際環境上に仮想の幻肢を入れ込みリハビリテーションをする事ができ、幻肢痛を緩和させることができると考えられ、本実証実験ではMR技術を用いたリハビリテーションの有効性について検証することを目的としています。

検証の様子

検証の様子

*1 ホロレンズは米国マイクロソフト社の商標です。