三菱地所株式会社は8月29日、同社が入居する大手町パークビルディング(東京都千代田区)にて、SEQSENSE社が開発した自立移動警備ロボット「SQ-2」の本格運用を開始した。

2018年6月の出資からこれまで、先端技術を活用した次世代型の施設運営管理の構築を目指し、開発段階から機能検証・現場検証を重ねるなど協業してきたが、実際の施設に「SQ-2」が導入されるのは、今回が初となる。


以下、プレスリリース引用

警備ロボット「SQ-2」の実用化について

今回のSQ-2実導入により、人とロボットの警備業務を分業でき、人工知能や開発技術の活用によって、警備業務全般の効率化や高度化を図ることができる。具体的には、従来警備員が行っていた日中や深夜の監視・巡回作業の一部をSQ-2が担当することで、人間が警備を行う時間を約8時間削減

さらに、あらかじめ設定されたルートの警備や指定されたポイントに駆けつけることが可能で、搭載されたカメラと通話システムで映像モニタリング・対話対応もできる。

そのほか、巡回時に撮影した画像から巡回レポートを自動作成、映像をリアルタイムで解析し、不審物などの異常検知も行う。

SQ-2開発にあたり、三菱地所は、実証実験フィールドを用意して開発を支援、同社が保有する警備業務全般のデータやビル管理のノウハウ、実証実験の場をSEQSENSE社に提供。これにより、SEQSENSE社は、警備の実状に沿った操作機能の整備やUI/UXの改善など、ロボット開発をスムーズに進めることができた。

2019年内には、丸の内エリアにある他のビルでも実導入を拡大していく方針で、2020年以降は空港や商業施設などへの実導入も目指しているそう。

最終的な目標としては、エレベーターやオートロック等の既存ビル設備と連動した警備業務、ロボットの運用から得たデータの活用も順次進めていく予定とのこと。三菱地所は。事業の質や顧客満足度の向上を目指し、不動産業の新たな可能性を探るべく、今後も積極的なロボット活用に注力していくようだ。

SQ-2の概要と機能

  • サイズ:全高 1295mm,全幅 510mm,全長 506mm,全周 600mm
  • 連続稼働時間;5~6時間
  • 搭載センサー:赤外線センサー(3D LiDAR)、超音波センサー、サーモセンサー
主な機能

  • 遠隔でリアルタイムにロボットの操作
  • あらかじめ指定した任意の地点まで自動走行
  • 通話システムにより、遠隔からの対話
  • 高精度カメラを使ってロボットの周囲360°をリアルタイムで監視
  • ロボット上部のセンサーに手をかざすと拠点の警備員と対話
  • 決められたルートで消火栓やスプリンクラーなどの各種設備が正常な状態かどうかの点検業務。異常を見つけた場合には拠点に通知・記録

※遠隔モニタリングの画像

三菱地所のロボット開発協業の取組み

三菱地所は、2017年から多様な人・企業が集い、交流することを通じて進化していく街「オープンイノベーションフィールド」を目指して取り組んでいる。具体的な取り組み内容としては、先端技術を活用した実証実験のための場を提供したり、街づくりにおける当該技術の有用性や実用化について検証を行っている。

現在、接客や物流といったさまざまな業界で顕在化する人手不足問題を解決すべく、ロボティクス分野において、人間社会の多目的な用途に用いるロボットの導入を推進している。

また、ロボットの開発段階から協業することにより、開発企業へさらに多くの実証実験・検証を場を提供し、より実用性が高いロボット開発の早期実現に向けて大きく貢献。

今回実用化されたSEQSENSE社の警備ロボット「SQ-2」にも、出資や実際の環境に近い動作検証場所の提供など、開発段階から協業しており、今後のさらなる開発にも期待ができると言えるだろう。

会社概要

【SEQSENSE株式会社】

設立:2016年10月

資本金:12億304万円

事業内容:警備用ロボット及びその関連製品の開発

代表者:代表取締役 CEO 中村 壮一郎・技術アドバイザー 黒田 洋司

URL:https://www.seqsense.com

【三菱地所株式会社】

設立:1937年5月

資本金:1,420億円

事業内容:オフィスビル・商業施設等の開発、賃貸、管理

代表者:代表取締役 吉田 淳一

URL:http://www.mec.co.jp