ROBOT開発偉人伝#5 アイロボット会長兼CEO コリン・アングルさん

iRobot社CEO/会長コリン・アングル
アイロボット会長兼CEO
名前:コリン・アングル(Colin Angle)
生年月日:1967年
出身:アメリカ

「これから家そのものがロボットになっていく」

引用:アイロボットジャパン合同会社

経歴

マサチューセッツ工科大学大学院卒
-1990 同大学在学中アイロボット(iRobot )設立
-1997 NASAグループ功労賞受賞/アイロボットCEO就任
-2002 自動掃除ロボットルンバ発売
-2005 ロボットメーカーとして初めてNASDAQに上場
-2008 アイロボット会長兼任

社会貢献するロボットを開発してきたコリン氏は「ロボットが仕事をうばうという事ではなく、人のあり方を考えるべき。」と語る

幼少期はスターウォーズに夢中

コリン少年は物を作るのが大好き。
母親に片付けを注意されたら言われた通り自分の手で片付けるのではなく、二日がかりで家中にワイヤを這わせ自動で片付けができるクレーンを作るなど、革新的な方法を模索しながらメカを自作していた。彼曰く「扱いづらい子供」だったそう。
そんな彼が夢中になった映画は「スターウォーズ」、作品に出てくる「LINデモリッションメク自立機雷敷設装置」やアニメ「宇宙家族ジェットソン」のメイドロボット「ロジー」がルンバのベースとなっているそうだ。

マサチューセッツ工科大学在学中

3名という狭き門の「モバイルロボットラボ」研究員に申し込んだコリン氏、その試験内容は今まで作成したロボットをひたすら書き列ねるというものだった。試験開始後10分…30分…書き終わり筆が止まる受験生が増えていく中、1時間たっても書き続けたコリン氏はラボに合格。ロボットの開発にますますのめり込んでいく。
在学中同じ人工知能研究所に所属していた所長のロドニー・ブルックス、ヘレン・グレイナーと共にアイロボット社を設立。
そこで火星など地球外探査を目的とした六本脚の自立式ロボット「Genghis」を開発、卒論として大学に提出すると「最高の卒論」として賞を受ける。
この経験でコリン氏は「天職を見つけた」と感じたそうです。
「Genghis」は科学雑誌ナショナルジオグラフィックスの表紙にもなりました。

地球外探査ロボットGenghis(ジンギス)
引用:iRobot Style

iRobot社のあゆみ

政府やNASAと共同で人命救助・海洋調査など様々な現場で活躍するロボットを開発しました。
経営がうまくいかない時も「社会に受け入れられるロボットを作ることに成功すれば、最終的にお金は入ってくるだろう」と考え、お金を稼ぐことよりもより実用性のあるロボット作りに注力。
結果、様々なロボットで社会貢献をしていく。
軍事・産業用ロボット「PackBot」は同時多発テロで崩壊した世界貿易センタービルや福島第一原発の調査で活躍。
海洋観測ロボット「Seaglider」は十ヶ月間という長期の潜航を実現した。
陸地の地雷を探査・除去するロボット「Fetch」はルンバの人工知能のプロトタイプにもなっている。

ルンバ販売!

社会に受け入れられるロボット、人の嫌がる作業をして人を喜ばせるような社会貢献ができるロボットを作りたいと企画/開発したのが、お掃除ロボット「ルンバ」。
いままでアイロボット社が開発してきた軍事・産業用ロボットのノウハウがゴミを見落とさない床面探査機能、段差や障害物を避ける動作…全てがルンバに生きている。
2002年販売当初の出荷台数は一万五千台、販売開始後すぐ好評を受け7万台まで販売台数を伸ばした。もっと売れる、と生産台数を増やすもそこで販売台数が伸び悩み在庫を抱える事態に。
どうしようかと営業陣と頭を悩ませていると、まだ何もしていないのに関わらず急に販売台数が再び伸び始めた。
…なんとペプシのCMでルンバがキャッチーに使われていたのだ。
CMで見たお掃除ロボットが実在すると知ったユーザーからの購入が殺到し、販売台数はさらに伸び20万台を超えた。
コリン氏はいい製品さえ作れば売れると考えていたが、この時にプロモーションの大切さを知ったそうです。
2005年ロボットメーカーとして初めてNASDAQに上場。
2018年にはルンバの販売台数は2000万台を超え、アメリカでの世帯普及率は11%強まで達した。

2002年発売初代ルンバと2016年のルンバ
引用:iRobot Style

日本とルンバ

アイロボット社は日本ユーザーの意見に特に耳を傾けているという。
綺麗好きな日本ユーザーは製品に対する品質や性能の期待値が特に高いので、日本で認められれば他の国でもユーザーを満足させられるからである。
日本国内での世帯普及率は4.5%とアメリカと比べるとまだまだ普及していない、日本国内でも10%を目指しルンバの改良は続く。

次のステップへ

社会に受け入れられるロボット、社会貢献するロボット、様々な製品が日々生まれ「ロボットが人の仕事を奪う」と囁かれているが、コリン氏は「ロボットが仕事をうばうという事ではなく、人のあり方を考えるべき。」と語る。

アイロボット社は2016年、軍事部門を売却し家庭用ロボットの開発に注力。ルンバが掃除機をかけたあとに拭き掃除をしてくれる「ブラーバ」も発売した。
進化と発展を続け我々の生活に根付いていく家庭用ロボット。
「難しい課題があったらとりあえず寝て、朝のまどろみの中でアイデアが浮かぶ」というコリン氏の目覚めるアイデアにこれからも注目だ。