ロボット導入×人材派遣によるスムーズな導入、運用を期待
昨今の国内の中食産業では生産性の向上、人手不足への対応、異物・ウイルス・微生物の混入対策が課題となっており、人手不足については少子高齢化に加えて、COVID-19の感染拡大で外国人の労働者、技能実習生が減少したことで人材派遣業界においても課題のひとつとなっている。
食品盛り付け作業を行う人型協働ロボット「Foodly(読み:フードリー)」を開発する株式会社アールティ(以下アールティ)は食品盛り付け工程のライン上で人と並んで働くロボットとして人型協働ロボットFoodlyを開発し、2018年にプロトタイプを発表した。2021年の発売・実用化に向けてロボットの新たな普及方法を模索するため、製造業、物流業の人材派遣に特化し人材の育成にも力を入れているウィルオブ・ファクトリーと、中食業界向けに販売代理店契約を締結した。ウィルオブ・ファクトリーは、様々な課題を抱える食品工場に対しFoodlyを提案するだけでなく、運用も支援することで現場の声をアールティと共有し、アールティはその声を元に人の働き方に寄り添ったロボットの導入方法を探り、ノウハウの構築を進める。
ロボットが隣で働くことに対して、はじめは現場のスタッフにも戸惑いが生じるため、通常はアールティが導入時に操作方法をレクチャーし運用のサポートを行うが、あらかじめロボットの操作方法を熟知している人材をロボットと一緒に派遣することが出来れば、よりスムーズな導入、運用が行えるとアールティは期待している。
ウィルオブ・ファクトリーが行うサービスの一つに社員と派遣スタッフがチームとなってともに働く「ハイブリッド派遣システム」がある※。今後、アールティはこのシステムとFoodlyを掛け合わせたサービスの可能性を探り、新しいロボット導入方法によって中食業界における「人とロボットがともに働く未来」の実現を目指していく。
※参照 11月17日発表 ウィルオブ・ファクトリー リリース
https://willof-factory.co.jp/news/detail1128/
お弁当のラインで盛り付け作業を行う Foodly (イメージ)
人の隣に並んで働くロボットFoodly
Foodlyとは
食品業界のニーズに応える形で2016年頃より開発が開始され、2018年10月にプロトタイプが発表された小柄な成人サイズの双腕人型ロボット。その後FOOMA2019(国際食品工業展)で「ばら積みの食材をひとつひとつ認識してピッキングし、ベルトコンベアのラインで人の隣に並んで働くことができる世界初のロボット」として初出展された。現在は導入相談を受け付け、掴める食材の試験や、食品工場での実証実験、導入試験を実施中。
ディープラーニングを活用したAI搭載ビジョンの実現により、ばら積みされた食材を認識してピッキングし、弁当箱・トレイへの盛り付けまでの作業を1台で完結させる。
人と同じラインで隣り合って安全に作業が可能なため、人と人の間にFoodlyを挟んでソーシャルディスタンシングをし、密を防ぐことが可能。食材の認識やピッキング動作をAIがフルサポートするため、現場での操作はモニタを使って簡単に行うことができ、ロボット用の照明条件の設定やティーチングも不要。設置にあたって大がかりな工事は必要ないため、工場の稼働の大幅停止や大規模な予算組みをせずとも、人手不足対応、衛生対策を進めていくことができる。
Foodly実用化によって期待できる効果
食品製造工程の中でも特に盛り付け工程は、対象物体の認識や作業の複雑さから自動化が非常に難しいと言われ、現状は人手に頼ることが多く早急な効率化が求められている領域。Foodlyの実用化によってその領域がサポートされ、生産性向上の一助になる可能性が拓ける。 また、人手をロボットに置き換えることで、生物由来の髪の毛やまつ毛などの異物混入や、人を介してのウイルス・微生物の持ち込みを抑え、衛生管理の向上に繋げることができる。今注目されているソーシャルディスタンスの確保や、COVID-19の感染拡大防止にも貢献可能。
2020年3月時点で、食材によって盛付速度700~800食/時間、成功率80~95%まで達成。掴める食材はからあげ、ミニトマト、いなり、肉団子、ハンバーグなど約10種類。
2020年10月よりキユーピー株式会社のパートナー企業として、経済産業省の「ロボットフレンドリーな環境構築支援事業」にも参画※。標準構成モデルを2021年初頭に発売予定。
※参照 10/1発表 アールティ リリース
https://rt-net.jp/notice/20201001/
人型協働ロボットFoodly
【Foodly標準構成モデル】
発売予定日:2021年初頭
販売方法:購入、リース、サブスクリプション
価格:1台800万円~
■Foodly製品詳細ページ
https://rt-net.jp/pr/foodly