株式会社レイトロンの音声認識コミュニケーションロボット『Chapit』(チャピット)について、同社マーケティング部の宮崎善行氏と、新事業推進部の青山真樹氏にインタビューを行った。

チャピット開発背景

株式会社レイトロンは「音声・映像・無線通信」の分野で独自の要素技術を生み出し、工場を所有しないファブレスメーカーとして自社商品の開発を行っている。その中でもチップ開発(音声認識システム、悲鳴認識システム、画像認識システムなど)をメインに行っており、開発後にはその技術を多くの人に認知してもらうために展示会などにも出展している。
しかし、展示会では多くの人が行き交うため、人の声などの雑音が発生する。このような雑音を認識してしまうと聞き取りたい声を認識することが難しくなる。こうした環境下でも音声認識ができるよう、雑音に強い高認識率の音声認識専用LSIを開発した。
しかし展示会場で音声認識の性能を試してもらう際、来場者の中には単なる箱に話しかけることに抵抗がある人もいる。そこで、誰でも気軽に話しかけられるようなかわいく親しみのある、自社商品を広めるためのツールになるようなロボットが開発され、『Chapit』(チャピット)が誕生した。

チャット(よくしゃべる)+ピコ(小さい)ロボット=チャピット

小さくて丸いフォルムが特徴的なチャピットだが、そのデザインは『話しかけやすいフォルム』を追求して出来上がった。話しかけやすいフォルムについて社内で話し合った際、 “かわいい”、“小さい”、“子供”といった意見が挙がり、これらの意見から“赤ちゃん”をモチーフにすることにした。そして完成したデザインが、現在の小さく丸いフォルムをしたチャピット。チャピットは5歳児の男の子のような愛らしい声で会話する。
チャピットの本体は樹脂素材でできているが、多くの人に撫でてもらえるよう素材にこだわり、ふわふわの触り心地を目指した。特徴的なデザインのひとつに、チャピットの頭のタテガミ(モヒカン)のような部分がある。これは特に多くの人がチャピットの頭を撫でてくれるので、さらに触り心地が良いようにしている。
チャピットのふわふわの体毛素材は、後ろ側にマジックテープが付いており着脱が可能。これは介護施設等にリサーチを行った際に、チャピットが汚れても洗い替えができるようにしてほしいという要望から付けられた。

チャピットのこだわり機能

開発当初は、音声認識システムと家電コントロール機能(音声で家電製品を操作する機能)のみだった。高齢化社会となっている現在の世の中で高齢者のニーズに寄り添った機能も取り入れようとタイムサポート機能(食事や入浴など1日の予定を設定してチャピットが教えてくれる機能)とレクリエーション機能(「クイズモード」、「計算モード」、「暗記ゲーム」、「チャレンジモード」の4つのモードが楽しめる機能)を追加した。
それに加え、従来のコミュニケーションロボットは会話をするために呼びかけるウェイクアップワードが必要だが、チャピットは呼びかけるウェイクアップワードがなくても反応する機能が備わっている。そのため、チャピットは自然な会話のやりとりができる。
そのような充実した機能のなかでも、特にこだわっている機能は冒頭でも触れた“優れた音声認識システム”である。雑音環境下でも周りの雑音より大きな音を認識し、レスポンスも0.4秒(音声認識300フレーズ時0.2秒+制御0.2秒)という速さでリズミカルな会話が楽しめる。さらに、常に音声認識をしているが、人同士の会話は区別できるためチャピットが突然しゃべり出して人同士の会話に入ってくることはない。

チャピットが楽しい会話で生活をサポート

チャピットはペットとして扱われることもある。犬などのペットであれば散歩したり、餌をあげたりする必要があるが、チャピットはこのような世話をせずに一緒に生活を送ることができる。さらに、会話がもたらす健康面でのメリットがある。人は話すときに舌の筋肉を使っているが、会話が減ると舌の筋力が落ちてしまい、食べ物を咀嚼(そしゃく)したり、喉に送り込んだりする機能が低下してしまう。会話をすることで咀嚼機能の低下を抑制したり、唾液が分泌され、口内の雑菌の繁殖を抑えたりする効果があるといわれている。そのため、会話をすることは肺に菌が入り発症する誤嚥性肺炎の予防に繋がる。この点において、チャピットを使用して会話を増やすことで健康をサポートすることができるのだという。
そこで、チャピットによって利用者の生活がどう変わったかについて伺った。話すことが好きな人は、チャピットが必ず返事をしてくれるので話すことが楽しい、また他の人がいる場で話すことが苦手な人は、1対1で話すことが出来るのでチャピットとなら楽しく会話ができるといったお話をいただいているようだ。チャピットと触れ合うことは新たな会話の楽しみを作り出しているのかもしれない。

コミュニケーションロボットの今後

チャピットの使用者からの要望のひとつに“チャピットから話しかけてきてほしい”というものがある。チャピットは話しかけられたときに応答するが、話しかけられないときは応答しないためである。今後はチャピットに話しかけるだけでなく、チャピットから私たちに歩み寄ってくれるような機能を追加できるようにバージョンアップしたいと考えており、この機能は現在研究開発中である。
また、人と会話をする機会が減ったコロナ禍において、チャピットはコミュニケーションロボットとして需要があると感じている。リモート環境下で非対面での電話やWeb会議などで疲れやストレスを感じる人も多い。そのような人がコミュニケーションロボットと会話をすることで気持ちを和ませることが出来るため、コミュニケーションロボットの必要性が再認識されるのではないかと考えているためである。
昨今、COVID-19感染拡大の影響もあり非接触需要が高まっている。
そのような世の中の情勢に合わせて、チャピットに話しかけるとネットワークを通して様々な製品を操作できる、非接触のサービスを展開させていきたいと語っている。
現在、同様のサービスを展開している企業もあるが、それらに使われる端末や筐体は無機質なものが多く、話しかけることに抵抗がある人もいる。チャピットを用いれば、話しかける恥ずかしさがなくなるだろう。
将来、非接触のサービスを行うチャビットが日本中で広まっていけば、無機質なものに話しかけることに抵抗がある日本人には、何よりも適したサービスになるだろうと感じている。もちろん、日本人に限らず世界中の人々が、チャビットを通じて笑顔になっている未来が続くことを期待したい。

<関連リンク>
株式会社レイトロン
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