NPOみんなの畑の会、石川県立大学らと連携。竹林など里山の利活用による地方創生を目指して
イノシシによる県内の農作物被害額は約1億円。
竹林など里山の利活用による地方創生を目指して
ロボティクス学科土居研究室がNPOみんなの畑の会(金沢市しじま台)、
石川県立大学らと連携
ベルト移動型の害獣対策ロボット試作機を開発
工学部 ロボティクス学科 土居隆宏准教授の研究室では、耕作放棄の農地や竹林などを利活用したにぎわいの創出を目指すNPOみんなの畑の会 (金沢市しじま台)、石川県立大学 環境科学科 大井徹教授と連携して、害獣対策ロボットの試作機を開発しました。
石川県では平成30年度の鳥獣による農作物被害額は約1億2936万円にのぼり、うちイノシシによる被害額は約1億1570万円と、その大半を占めています。※
※石川県 鳥獣による農作物被害額 「鳥獣による農作物被害額の推移(H21-H30)」より
https://www.pref.ishikawa.lg.jp/no-an/choujyu/choujyu_higaigaku.html
これに対して従来から田畑を電気柵で囲うなどの対策が取られていますが、漏電防止や設備の維持管理などに課題が残されています。
このたび開発された試作機は、幅110mm、高さ260mm、奥行き150mm、重さ1.35kgfのベルト移動型のものです。起伏や傾斜がある里山での利用を想定し、木々の間に張られた架線(ベルト)を伝って移動します。搭載されたカメラで害獣を認識、追尾し、音や光などを発して害獣を撃退します。また高齢者でも扱えるよう、ベルトへの着脱はバネによる蓋の開閉で簡単にできるようになっています。プロトタイプを使った走行実験では、ベルトが濡れた場合でも走行に支障はなく、またカメラによる物体検出実験では、走行時も害獣にみたてたぬいぐるみを検出することが確認できました。
土居研究室では今後、国際高専や石川県立大学と連携しながら、画像処理による害獣の種類の検出や機体の性能向上、雨水などの環境対策を図るほか、音や光などを用いた比較実験を通じて最も効果的な撃退方法を選定し、実用化に近づけて行く考えです。
NPOみんなの畑の会は、金沢工業大学や石川県立大学、国際高専などの県内の大学や、株式会社シコウと連携した害獣対策や伐採した竹の災害時の有効利用などの地方創生に向けた取り組みが評価され、石川県から「石川版里山づくりISO」の認証を受け、金沢市から「令和元年度 いいね金沢環境活動賞」を受賞しています。