圃場内で自立走行する運搬・噴霧ロボットの実証実験を実施
有機農業×ロボット×AIで持続可能な農業を実現する株式会社トクイテン(本社:愛知県名古屋市、代表取締役 豊吉 隆一郎、以下トクイテン)は、愛知県が主催するサービスロボット社会実装推進事業「あいちロボットトランスフォーメーション(ARX)」に、ロボットベンダーとして採択されました。
2021年12月に、愛知郡東郷町のトマト農園「Toma ROSSO TOGO FARM」において、自律走行型の運搬・噴霧ロボットの施設園芸での実装に向けた実証実験を行います。
あいちロボットトランスフォーメーション(ARX):https://aichirx.jp/
株式会社トクイテンについて
トクイテンは「持続可能な農業へのシフトを加速する」をミッションに掲げ、2021年8月に設立した有機農業×ロボット×AIのスタートアップです。愛知と東京の拠点で有機ミニトマトの生産と、農業の自動化システムを開発・実装しています。私たちはAIやロボティクスの活用を通じて、環境負荷の小さい有機農業への転換を推進し、持続可能な農業の実現を目指します。
株式会社トクイテン:https://about.tokuiten.jp/
実証実験の概要
愛知郡東郷町のトマト農園「Toma ROSSO TOGO FARM」の圃場内で、自律走行型の運搬・噴霧ロボットによる収穫物の運搬や、液体肥料・農薬噴霧を行います。
【収穫物の運搬ロボットの運用】
実証内容:
・どの程度の地面の状態なら運搬ロボットが安全に活動できるか
・対人件費でどれ程度の効果があるのか
・人件費の削減、労働負荷の削減以外の効果はありそうか
実施内容:
・運搬作業の一部のロボット化
・人間が行っている作業を、ロボットに置き換えた場合の時間等の計測
・ロボットを使った場合の効果に関する現場の人へのインタビュー
【液体肥料・農薬噴霧ロボットの運用】
実証内容:
・液体噴霧ロボットにはどういったことが求められるか(実際のタンクの容量、噴霧ノズルの配置や形状)
・対人件費でどれ程度の効果があるのか
・人件費の削減、労働負荷の削減以外の効果はありそうか
・頻度を増やすことができるなど
実施内容:
・一定エリアでの液体の噴霧
・人間が行っている作業を、ロボットに置き換えた場合の時間等の計測
・ロボットを使った場合の効果に関する現場の人へのインタビュー
株式会社トクイテン設立の背景
昨今、気候変動への対策として、温室効果ガスの排出を実質ゼロにする脱炭素社会の実現に向けた取り組みがあらゆる産業で進められています。温室効果ガスの排出量が全産業の約1/4を占める農業関連分野においても、欧米を中心に製造過程で温室効果ガスを排出する化学肥料や、農薬を使用しない有機農業への転換が進められています。
日本でも2021年に農水省が、2050年に有機農業用の農地の割合を現状の1%未満から25%に増やす目標などを盛り込んだ「みどりの食料システム戦略」が策定され、有機農業への転換が急務となっています。*1
また、日本の農業は農業従事者の減少、高齢化という大きな課題を抱えています。
農林水産省の2020年の調査によると、農業を主な仕事とする「基幹的農業従事者」の数は、136万1千人と、2015年の前回調査から22.5%、39万6千人減少しました。平均年齢は67.8歳、65歳以上が占める割合は69.8%となっています。
従来の慣行農業と比べて有機農業は、除草や病害虫の発見・駆除の手間が多くかかります。
農業従事者の減少・高齢化が進行する中で、手間のかかる有機農業への転換を進めるために、AIやロボットを活用して農作業の効率化・省力化するスマート農業に期待が寄せられています。
このような状況をうけて、トクイテンは持続可能な農業へのシフトを加速するため、2021年8月に設立しました。私たちはAIやロボティクスの活用を通じて、環境負荷の小さい有機農業への転換を推進し、持続可能な農業の実現を目指します。
*1「みどりの食料システム戦略」 – 農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/kanbo/kankyo/seisaku/midori/
*2 「2020年農林業センサス」 – 農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/tokei/census/afc/2020/
共同創業者・代表取締役 豊吉隆一郎よりコメント
この度、持続可能な農業の実現を自分たちの手で早めたいという想いから、トクイテンを設立いたしました。COVID-19の影響のなかで自分に何ができるか、何をすべきかと悩んでいた時に、農業研修や人との出会いの中で有機農業への転換の必要性を知りました。
私と森は持続可能な農業へのシフトを加速させるため、自分たちの手で有機農業の農地を増やすというシンプルなチャレンジをしていきます。有機農業の農地を増やすのは簡単ではありません。
栽培技術、販路開拓、ロボット・AI技術、土地の取得、消費の拡大などやることはたくさんありますが、私はとてもワクワクしています。一緒の目標に迎える仲間ができれば必ずできることだと信じています。もしトクイテンが目指すところに共感していただけたらぜひこの機会に一緒にチャレンジしませんか?
まずは来春に向けて0.2haの農地の準備とロボット開発をしています。そしてそれがうまくいけば2haに広げ、さらに大きくしていきます。これを読んでくださっているあなたの応募をお待ちしております。
【豊吉 隆一郎(とよし りゅういちろう)プロフィール】
1981年生まれ 岐阜県出身
岐阜工業高等専門学校でニューラルネットを学び卒業。2011年6月に株式会社Misocaを設立。クラウド請求管理サービス「Misoca(ミソカ)」は20万事業者以上が登録するサービスに成長。その後、会社をオリックスグループ(弥生株式会社)へ売却、代表を退任。令和2年度 農業者育成支援研修に通い農業を学ぶ
共同創業者・取締役 森裕紀よりコメント
人工知能が人間を超えるという話のなかで「シンギュラリティ」という言葉を聞いたことのある人は多いと思います。日本語には技術的特異点と訳されます。技術的特異点に到達すると人間の社会が不可避的に変わり後戻りできない状況とされています。
農業の技術的特異点は、農業に人間の労働が必要なくなった時点かもしれません。技術的には我々はそれを目指します。
農業従事者は高齢化と数の減少から逃れられない状況で、世界的にも今後50年程度で世界的にも人口減少時代が到来するともいわれます。我々は、自動化農業システムを目指す中で、持続可能な食料生産・供給のモデルを考えていきます。
また、持続可能性という意味では環境の問題は避けて通れません。化学肥料などを使用した慣行農業が全て悪いわけではありませんが、土地が痩せるなどの弊害があり、有機栽培は持続可能な農業という意味でも重要な要素になります。ただ、手間がかかるという欠点があります。ロボットによる自動化は有機農業の活性化にもつながります。有機農業×ロボット×AIにより農業のトクイテンを目指します。
【森 裕紀(もり ひろき)プロフィール】
1981年生まれ 愛知県出身
岐阜工業高等専門学校でニューラルネットを学び、それ以来、人間やロボットの学習、認知、発達、運動制御について研究を行う。豊橋技術科学大学情報工学課程3年次編入・卒業、同修士課程修了。東京大学情報理工学系研究科博士課程単位取得退学後、博士(情報理工学)取得。科学技術振興機構研究員、阪大助教、フランスでの研究を経て、現在、早稲田大学次世代ロボット研究機構AIロボット研究所尾形哲也研究室にて研究院准教授・主任研究員として研究開発活動に従事
参考情報
【あいちロボットトランスフォーメーション(ARX)概要】
愛知県が2019年度から2年間にわたり取り組んできた「あいちロボットショーケース」。
with/afterコロナの「新しい生活様式」により高まったサービスロボットへの期待を一過性のものとせず、生活の様々なシーンでロボットとの協働により社会を変革(トランスフォーメーション)させるべく、AICHI ROBOT TRANSFORMATIONとして、様々な施設でのロボット活用の好事例をものづくり王国・愛知から発信します。
2021年度は、スポーツ施設やオフィス、空港等で、ロボットの導入に知見のある専門家の監修により、公開の実証実験を行います。 ロボットの機能や効果を広く社会に発信し、ロボットの導入を目指すユーザー施設とのマッチング機会の創出に取り組みます。
あいちロボットトランスフォーメーション(ARX):https://aichirx.jp/
【トクイテン会社概要】
社名:株式会社トクイテン
本社:愛知県名古屋市中村区井深町1番1号 新名古屋センタービル 本陣街142号室
代表:代表取締役 豊吉隆一郎
設立:2021年8月6日
https://about.tokuiten.jp/