栄田さんの写真

株式会社Genics
代表取締役 栄田 源(さかえだ げん)

口腔ケアの重要性

今回取材させていただいたのは株式会社Genics 代表取締役の栄田さん。
『次世代型全自動歯ブラシ』について、開発の経緯や想いを伺った。

飲む、食べる、話す、呼吸する…人間が生きていく中で必要不可欠な行動は『口』を通して行われていることが多い。
その重要な器官の健康維持を、考え、調べ、実行したことはあるだろうか。

栄田さんは様々な研究を進めていく中で健康維持について考えるようになった。元気に100年生きる、それには健康を維持していかなくてはいけないが意識してみると意外と難しい。
そこで自分が健康維持のために日常生活で出来ていることを考えた結果、”歯磨き”に行きついた。

歯磨きの歴史は古く、古代エジプトに始まり、日本では平安時代に記録が残っている。
しかし、最初は一本一本丁寧に磨いていたのが今では歯ブラシで磨くだけになり、時を重ねるごとに簡易的なものになってしまった。
飲み会の後は磨かずに寝てしまったり、そもそも朝・昼・夜どこかのタイミングで磨かない人や時間をかけずに済ませてしまう人も多いだろう。

食べ物を食べた後に付く歯垢は言ってしまえば病原菌なのだ。
歯と歯茎の間には血管が通っており、もちろんそれは全身に繋がっている。
しっかり磨かなければ病原菌は全身に渡り、酷ければ心臓病やアルツハイマーなど恐ろしい病気に繋がってしまう。
そして怖いことに、それは長年の蓄積が病気を引き起こしているということだ。

だが、逆に言えばきちんと口腔ケアをすることで予防することも出来る。
栄田さんは、自身が学んでいる技術できちんと磨けるものを開発し、それが自分を含めた人々の健康維持に繋がっていけるのではないかと思い、出来たのが『次世代型全自動歯ブラシ』なのだ。

『次世代型全自動歯ブラシ』

次世代型全自動歯ブラシの画像
次世代型全自動歯ブラシの持ち手部分
製品名次世代型全自動歯ブラシ
開発会社株式会社Genics
製品URLhttps://genics.jp/product/

通常歯ブラシを使用して手で磨くとなると、一本一本丁寧に磨いた場合15分以上かかることもある。
だがこの次世代型全自動歯ブラシを使用すれば、口に咥えて約30秒で歯磨きが完了するというのだ。

本製品は2015年に早稲田大学での研究を開始し、 2019年には製品化に向けた最初のプロトタイプが完成。2020年には二つ目のプロトタイプが完成した。

現在は人手不足に悩まされている介護現場への導入を目標としているそうだ。
お話したように歯垢は病原菌であるが、歯磨きの訓練を受けることが出来ないまま実践に入る介護士が多い。
正しい口腔ケアを行うためにも、本製品の導入は現状打破に向けて必要だと言えるだろう。

だが今まで人間が行っていた歯磨きを自動化するには、やはり苦労した点も多かった。
人間は歯を磨くときに細かく前後方向に動かして様々な角度から磨いているが、その人間の動作のようにしっかりと磨けるように動かすことが難しかった。
また、人間が手で歯と歯茎の間に溜まっている歯垢をきれいにするには鏡を見ながら一本一本丁寧に磨かなければいけないが、それではお話したようにかなりの時間がかかってしまうため、磨く時間を短縮できるよう調整することも必要となった。
人間の歯列は人によって異なるため、複数のブラシヘッドを口の中に入れて柔軟に動かすことも苦労したポイントだったという。

次世代型全自動歯ブラシの磨いている際のイメージ図

すでに介護施設で実証実験を行っており、入居者に咥えてもらい持つだけで歯磨きが完了するので負担が軽減されると好評だ。
また介護現場だけでなく、小さい子供のいる家庭では仕上げ磨きに、手が不自由な人は咥えるだけで磨けるとコメントも入ってきている。

これから

日本は介護保険制度や健康保険制度の仕組みがしっかりしているため、予防するのではなく病気にかかってから治療を始めるという意識が強い。
しかし日常生活で行っている動作の一つ一つを見直すことで将来的に発生するかもしれない大きな病気を防げる可能性がある。
その”予防”の重要性をわかってもらうための活動の一歩として着手したのが歯磨きだった。

実際のシチュエーションを想定した動画には、在宅ワーク中やゲーム中など「忙しい」「手が離せない」といった場面でも咥えるだけで歯磨きを行っているものがある。
このように仕事や趣味、家事などで手が離せないときに短時間で手軽に歯を磨けるのはとても素敵だと私は思う。

現在は企業向けに開発を進めており、様々な検証をデータ化している。
そして個人の歯列や歯の本数、子供の生え変わりなどに対応出来るようフレームやブラシのセミカスタマイズも視野に入れて、2~3年後にはコンシューマー向けに提供できるように進めているそうだ。

そしていつか、今まで人間の手で行っていた様々な行動をロボットに行ってもらうことで、空いた時間を自分が本当に進めたいことに使えるようにしていきたいと栄田さんは話してくれた。

企業概要

genicsの社名ロゴ画像

企業名:株式会社Genics
所在地:東京都新宿区西早稲田1-22-3 早稲田大学インキュベーションセンター12号
URL:https://genics.jp/