自治体と出版社がタッグを組んだ新しいチャレンジ
宮城県石巻市と株式会社講談社(以下、講談社)が「石巻市-講談社SDGs推進連携協定企画」を締結し、内閣府が今年7月に10都市で決定した「自治体SDGsモデル事業」の取り組みの一つとして「SDGs広報大使」に講談社の鉄腕アトムのロボット「ATOM」が就任した。これは自治体と出版社がタッグを組んで行われる、キャラクターの力とコンテンツの展開力を生かした新しいチャレンジとなる。
講談社は今年1月に国連の「SDGメデイア・コンパクト」に加盟しており、今回の協定をSDGsの啓もう活動に全社的に取り組んでいく取り組みの一つとしている。2021年3月の「東日本大震災」10年に向けさまざまな施策で石巻市のSDGsの啓もう活動に連携・協力していく予定。11月12日(木)11時から行われた任命式ゲストには、鉄腕アトムの産みの親である手塚治虫氏の手塚プロダクション取締役・清水義裕氏、吉本興業SDGs担当・横澤夏子氏が出席した。
ロボットATOMを市役所、高齢者宅などで活用
記者発表では、石巻市の亀山紘市長が登壇し、石巻市が内閣府の「自治体SDGsモデル事業」10都市に選ばれた取り組みの全体像を説明。この取り組みにコミュニケーション・ロボットを活用し、地元の高校生が組み立てたロボットATOMを地元の高齢者宅で活用することで、高齢者に親しみをもって接してもらい孤立を防ぎデジタルデバイドの解消を図る。さらに将来的には市のスマートモビリテイなどとの連携も視野にいれている。
また「漫画の街・石巻市」というキャッチフレーズも持つ石巻市ならではの施策として、講談社の鉄腕アトムのロボット「ATOM」を「石巻市SDGs広報大使」として正式に任命。石巻市民のSDGsへの理解を促進し、市のSDGsの具体的施策をわかりやすく漫画・ショートアニメ・アプリで遡及するため、講談社のコンテンツの展開力を活用する「連携協定企画」を締結した。
任命式では亀山紘市長自ら、「ロボットATOM」に任命状を手渡し、ATOMは「一生懸命がんばります!」と拝命。亀山市長は、「ATOMを地元の高校生が組み立てることで、IT人材の早期からの育成に役立てたい。漫画の街・石巻市の未来に向けてのチャレンジを、もっとたくさんの人に知ってもらうためにも、SDGs広報大使として期待しています」と語った。
ゲストの手塚プロダクション取締役の清水義裕氏は、「手塚治虫も30年前に、まだ”持続可能”という言葉はなかったが、経済と社会だけでなく”環境”という概念を発信していた。ATOMロボットに頑張ってもらいたい」とコメント。同じくゲストの、吉本興業SDGs担当の横澤夏子氏は、「母親になって、SDGsということをより考えるようになりました。ロボットATOMは、子どもたちや高齢者にとって、とても親しみやすい存在になると思います」と語った。
3つのSDGs啓もう手段
ロボットATOMは、石巻市の市庁舎や公民館で「SDGs広報大使」として市民に親しんでもらいながら、3つの手法でSDGsを啓もうする。
人気漫画家・まずりん氏が描き下ろした「SDGs漫画小冊子」を10万部無料配布するほか、「SDGs解説ショートアニメ」、SDGsの17項目を博物館をめぐる仕立てでガイドする「SDGsアプリ」をiOS、androidでリリースするなど全世代に遡及するための表現方法で市民に石巻市のSDGs施策をわかりやすく説明し毎日の生活のなかでできるSDGsの実践例を広く推進していく。
取り組み①「SDGs漫画小冊子」
「独身OLのすべて」などで人気の漫画家・まずりん氏の描きおろし「SDGs漫画」で、石巻市のSDGsの取り組みなどをくわしく紹介する。10万部無料配布を予定。
取り組み②「SDGsショートアニメ
「SDGsって何?」をテーマに、ロボットATOMが分かりやすく教えるショートアニメを公開する。全7話からなるSDGsを学べるストーリーで石巻市公式SNSや専用YouTubeちゃんねる、七十七銀行のサイネージなどで放映される。
取り組み③「SDGsアプリ」
iOS版とandroid版で公開されるアプリケーション「石巻市SDGs博物館」は、SDGsの17の目標を学べるコンテンツや、SDGs漫画、SDGs動画を楽しめる。App storeとGoogle play storeより無料でダウンロードできる。