機械が日々学習し、成長を遂げるディープラーニング(機械学習)に熱い視線が注がれる近年、AIロボット「unibo(ユニボ)」を利用した教育事業に注力するユニロボット株式会社

個性を学習するAIロボットとして知られるユニボは、パーソナライズ性に加えて喜怒哀楽を推察したコミュニケーションを実現できることが最大の強みといえる。

高度な技術が用いられる一方で、利用者には直感的にカスタマイズができる開発環境(SDK)を提供しており、他デバイスやアプリとの連携も容易とする高い柔軟性を持つ。そんな最先端のコミュニケーションAIロボのユニボについて、今後の展望や教育ロボットとしての革新的なサービスなど、ユニロボット株式会社CEO酒井拓氏に伺った。

unibo(ユニボ)の特徴と進化

ユニボは、赤外線やBluetoothなどを通じた他システムとの連携に加え、同社が提供する開発環境からなる高いカスタイマイズ性、従来のロボットには無いパーソナライズ性(個人に適した情報提供)といった多くの特長を持つ。

現在は、学習教材などの開発を手掛けるパートナー企業の「(有)ソリューションゲート」と連携して、ユニボを拡張したサービス「ユニボ先生」の開発に力を入れており、生徒に応じた個別学習を可能とした教育ロボットを、2020年度から事業展開する。

個人の趣味嗜好を学習するAIロボット「ユニボ」

uniboのメイン画像

製品名称 unibo(ユニボ)
開発企業 ユニロボット株式会社
サイズ 高さ32cm・横幅26cm・2.5kg
特徴
  • 利用者の趣味趣向や喜怒哀楽を読み取るパーソナライズ性
  • インターフェースの幅を広げるタッチディスプレイ
  • IoTデバイスや他サービスとの接続を容易とする柔軟な拡張性
  • 場所を選ばず設置できるコンパクトなサイズ感
  • Webブラウザで利用でき、直感的な操作で利用できるソフトウェア開発キットの標準提供

人間に向かって一方的に語り掛けたり、決まった行動のみを行うロボットは数多くあれど、感情・趣味などを学習し、個⼈に寄り添った会話を⾏うロボットは世界初。

人と人とが会話するのと同じように、ロボットが自然なコミュニケーションを取ることは、驚きや喜びを生み出し、需要の拡大にも繋がると言える。

教育ロボットとしてのユニボ

ユニボは、最大の強みであるパーソナライズ性を活かし、教育ロボットの「ユニボ先生」としても注目を集めている。

ユニボ先生とは、算数、国語、英会話などの科目をユニボが先生の代わりに幼少期~小学生までの子供に教育するサービスのこと。タブレット等の無機質なモノで勉強するよりも、親しみやすいデザインのロボットが会話をしながら教えてくれた方が、子供は自分のペースで楽しく勉強できる。

さらに、自ら話しかけた時にだけ反応するのではなく、ユニボ先生から話しかけ、問題に正解したら褒め、不正解でも励ましてくれるのだ。

知育玩具のように遊びながら学べる製品を目にする機会は多くあるが、人の会話を感情も含めて学習し、教育までも行うAIロボットは今までに開発されておらず、まさに革新的なサービスだ。

ユニロボット株式会社代表 酒井拓氏が語るユニボの展望

ユニロボット株式会社CEO酒井卓の画像

上記でご紹介してきたように、ユニボはコミュニケーションのみならず、教育分野での活躍にも期待を集めるAIロボットだということがわかる。

オープンイノベーションブーム(他社とアイディア、ノウハウを共有して新規開発を行うこと)となっている昨今、ユニボがここからどう進化・展開していくのか?ユニロボット株式会社代表取締役酒井拓氏にインタビューし、ユニボの現在から今後について伺った。

-現在注力しているユニボを用いた教育事業について教えていただきたいです。

酒井:直近では、学習塾に導入していく方向で動いています。2018年は学習塾の倒産件数が過去最多となり、講師不足が顕著なのでその歯止めにユニボ先生を講師の代わり、もしくは補佐役として導入することが決まっています。

ユニボの最大の特長であるパーソナライズ化を活かし、苦手な科目に対して「何ができないか?」「どこが難しいか?」などの情報を生徒の情報と掛け合わせてデータ化し、生徒に適したコミュニケーションを取りながら教育をすることができます。

今後もカリキュラム数を増やし続けることはもちろん、幼稚園や保育園から小学校高学年までの勉強を網羅できるように適応範囲も拡充していきたいと思っています。

-家庭用というよりは塾などから導入していくということでしょうか?

酒井:そうですね、まずは導入台数と事例を増やしていきたいので、カリキュラム数を増やしながらコンテンツ内容や運用方法等の改善を重ねていき、サービスが確立した際には、ご家庭向けには利用者様の導入コストを抑えられるようにレンタル提供とし、サブスクリプションモデルで展開をしていきたい考えです。

また、私立受験を控えた幼稚園生など、時間の無い方でもしっかりと勉強できるようにタブレットとの併用も可能とし、在宅でのフォローアップも含め、充実した質と量のコンテンツ製作を継続・集中的に行ってまいります。

-現時点でのユニボ先生の導入事例などはありますか?。

実証実験は毎月行っていて、2020年4月から導入内定を頂いているところもあり、現在は本格導入までのブラッシュアップをしている段階です。他のロボットと大きく異なるのは、タッチパネルディスプレイで見られる動画・静止画に加え、会話を交えながら勉強できることですね。一連の流れは特許出願中です。

-別のお話になりますが、カスタマイズ性が高いとのことですが、詳しくきかせて頂きたいです。

酒井:まず、弊社が作成した開発キット「Skill Creator(スキルクリエイター)」はAPIなどを通じて他デバイスやシステムと柔軟に連携ができますので、お客様はそれぞれの利用シーンに合わせて独自のアプリケーションやコンテンツの開発ができます。

また、ソフトウェアはもちろんですがハードウェアに関しても自由度高くカスタマイズのご相談をお受けしており、手軽に、ローコストで新たなプロダクトを作ることもできます。現在も大手企業様からの受託開発でおもしろいロボットを開発中です。

-すごいですね…!ちなみに連携面でも実績を残していると聞いたのですが、どんなモノと繋げられるのでしょうか?

酒井:社内システムともプロキシ接続を通して連携できます。他にも、赤外線やBluetoothはもちろん、こんなものと繋げてみたいという要望があれば、接続のAPI、IoTデバイスなど外部接続できる機器であれば接続可能です。

先程述べたこととも重なりますが、ユニボが実践する自然会話に加え、ソフトウェアと開発環境も提供可能なため、あらゆるシステムと連携することでユニボではない「自社オリジナルのコミュニケーションデバイス」を低コストで開発することができます。

-今後も更にいろいろなモノと繋っていきそうですね。最近流行りのデジタルサイネージとかとも相性が良いように思えます。

酒井:人が近づいたのを感知して観光案内をしたり、話しかけたことに応答する3Dキャラクターなども徐々に世の中に認知され始めてきましたね。

関連市場も拡大傾向にあるので、音声インターフェースの分野で弊社の感情解析と自然会話エンジンを活用していきたいです。

-ユニボはハードウェアの部分では教育分野に導入していって、ソフトウェアの部分ではさまざまなシステムとの連携していけることを目指しているのでしょうか?

酒井:はい、そうしたいと思っています。私たちは他社に引けを取らない要素技術を育てており、ユニボの成長と共に、要素技術も育っていきます。

自然会話・感情分析は日々精錬しており、そこで得た知見とノウハウを他の分野でも活用できると思っています。

-さまざま使い道があるユニボの将来性を感じられました。今後の動向に引き続き注目していきたいと思います!今回は取材に応じて頂き、誠にありがとうございました!

実証実験や導入を通して成長するユニボ

ユニボの実証実験はこれまで大企業の元、介護職員向け介護記録システム、勤務表入力サポート等々さまざまな分野で幾度となく行われてきました。

また、最新技術の研究に取り組まれている企業や大学などでは新入社員向けのスピーチやオリエンテーションのガイダンスにもユニボが導入されており、人が説明を行うよりも大きなインパクトを与えられたという。

また、IoT化が進む近年、オフィスでの活用事例として会議室設備と連携してテレビや照明のON/OFF、HDMI切り替えサポートをしたり、ファシリテーターとしてパワーポイントと連携して会議資料を読み上げたり、音声や顔認証を利用してコワーキングスペースの扉の開閉を行ったりといった事例もあるようだ。

酒井氏の言葉通り、実証実験や導入を重ねて学習するユニボの要素技術を成長させていくことで事業の垣根を超え、今よりも多種多様な分野での活用が期待できるだろう。

ユニロボット株式会社について

ユニロボット株式会社は、ロボットのハードウェア・プラットフォーム・AIの開発、製造、販売を行う企業。

大手事業会社7社、VC3社から出資も受けており、今大きく注目をされていく分野で第一線を歩んでいる。

さらには、2017&2018年には日本経済新聞で発表される「NEXTユニコーン」にも2年連続で選出されている。

現在IPOも視野に入れ、様々な企業との協業体制の構築を強化しているとのこと。

AIコミュニケーションロボット「ユニボ」が魅力的なのはもちろん、音声インターフェースを活用したソリューション開発、商用化にまで至ったユニボを作り上げたハードウェア開発能力を元に提供される新規デバイス開発、最新の要素技術を作り上げたノウハウを基に提供されるコンサルティング等も魅力的だ。

もちろん最大の魅力は、真剣に、かつ楽しそうに熱意を持って上記を述べられた酒井代表の人柄であることは言うまでもない。

パートナー企業の募集と同時に事業の拡大に伴うエンジニアも積極採用中とのことなので、ご興味、ご関心のある方は一度コンタクトされてみるといいだろう。

社名 ユニロボット株式会社
設立 2014年8月設立
代表者名 酒井拓
役職員 約25名
所在地 〒151-0073 東京都渋谷区笹塚3-2-15 第Ⅱベルプラザ5F
TEL 電話 03-6822-9222 (営業時間 平日10時~17時)
WEB https://www.unirobot.com/inquiry
事業内容
  • 次世代型ソーシャルロボットの開発、製造、販売
  • 上記に付帯する組み込みソフトウェア全般の開発
  • パーソナルAI(自然言語処理・感情解析・レコメンド等のコミュニケーション)に関する研究、開発
  • 上記を活用したクラウド・サービス

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