ROBOT開発偉人伝#1〜吉藤健太郎さん/株式会社オリィ研究所CEO〜


株式会社オリィ研究所CEO
名前:吉藤 健太郎(よしふじ けんたろう)
生年月日:1987年11月18日
年齢: 31歳(2019年8月8日時点)
出身:奈良県

「私のやりたいことは、孤独の解消。」

引用:株式会社オリィ研究所

経歴

-ロボフェスタ関西2001 虫型ロボット競技大会 準優勝

奈良県立王寺工業高等学校
-JSEC 文化大臣賞/アジレント・テクノロジー特別賞受賞
-ISEF エンジニアリング部門3位

詫間電波工業高等専門学校 情報工学科 中退

早稲田大学 創造理工学部
-OriHime 開発
-オリィ研究所 設立

幼少期の孤独

天才と呼ばれた少年は大きく成長し、幼い時の思いを胸にトレードマークの黒い白衣を身に纏い「孤独の解消」をミッションに挑戦を続けている。

吉藤さんは小学校5年生時に自宅療養で数週間学校を休んだことを機に自分の居場所がなくなったと感じ、それから中学校二年生までの三年半不登校となった。
なんとかしなければ、という焦る思いがストレスとなり一週間天井を見て過ごす日もあったそうだ。
落ち込む彼を救ったのは「学校に行かなくてもいい」と言うご両親の声と、自分の中で唯一自信のあった折り紙。
(オリィ研究所の名前でもある吉藤さんの愛称「オリィ」は今も得意だと言う「折り紙」が元となっている。)

不登校の間、折り紙や漫画に熱中していた吉藤さんにロボット開発の道を示したのは母親だった。急に「漫画と折り紙が作れるなら、ロボットも作れるに違いない」と虫型ロボット競技大会に申し込みをしたのだ。
吉藤さんもテレビでロボット大会の番組を好んで見ており、興味もあったため参加を決意。なんとそのまま地区大会を優勝してしまう。
その後に開催されたグランドチャンピオン大会では工夫と練習を重ね、努力の結果準優勝に輝く。

師匠との出会い

出場した大会で「奈良のエジソン」と呼ばれる久保田憲司氏の開発した一輪車ロボットに魅せられた吉藤さんは弟子入りを決意。久保田氏が教師として勤める奈良県立王寺工業高校に進学を決める。不登校であった吉藤さんには困難な選択ではあったが家族、先生、親友たちの助けで無事入学を果たす。

在学中、ボランティア活動で興味を持った電動車椅子の研究プロジェクトに参画。久保田氏に「友達と遊べ」と心配されるほど研究に没頭。
結果、傾きを感知し自動で補正する画期的な電動車いすを開発し、高校生の科学技術自由研究のコンテストJSECで文部科学大臣賞/アジレント・テクノロジー特別賞を受賞。
その後、科学技術のオリンピックと名高いISEFでエンジニアリング部門3位を受賞する。

車椅子で世界的な評価を受けた吉藤さんだったが、先述の大会で情熱的な同世代のエンジニアたちに触れ、今までのかっこいい車椅子を作りたいという思いでは情熱が足りないと考え、幼少期の思い出から「孤独の解消」をテーマに開発を進めていく。

早稲田大学在学中

これから人とのつながりで孤独の解消を考えていくのに、今までのコミュニケーションにネガティブな自分ではだめだ!と吉藤さんは大学で様々なサークルに参加。
パントマイムサークルでは人体の動きを、演劇部では感情を、コミュニケーション以外にもロボットに関わるヒントを得た。他にも社交ダンス部などにも入っていたそうだ。

人工知能も学んでいた吉藤さんですが、ロボットと人ではなく人と人を繋ぐロボットを作ろうと開発したのが分身ロボットOriHime
額にあるカメラによって離れていても映像で音声と視界が共有でき、声を発せない人は合成音声で発言することもできます。モーションも豊かで感情表現をすることもできます。
OriHimeの名前は、遠くにいる二人が繋がる織姫と彦星になぞらえて名付けられました。

在学2年目の2011年OriHimeを発表、国際ロボット展に出品。
2012年には仲間とともに株式会社オリィ研究所を設立しました。

OriHimeの普及


引用:株式会社オリィ研究所CEO

研究所の設立からビジネスも精力的に学び協力者も現れますが、開発費資金が付きかけてしまいます。そこで「みんなの夢AWORD」というビジネスコンテストにエントリー、武道館で10000人を前にOriHimeのプレゼンを行い優勝を果たし賞金2000万円を得て開発を軌道に乗せることができました。

そんなとき吉藤さんのプレゼンを見た寝たきりの男性からメッセージが。

名は番田さん、4歳の時に脊髄損傷して以来寝たきりで呼吸器も必要で人生に気力もなく生きていくのが辛いと語っていました。吉藤さんは番田さんとやりとりを重ね彼の孤独を知り、秘書として雇用します。
番田さんは吉藤さんのサポートを始めOriHimeを活用し外部との関わりを通じ気力を取り戻し、後に二人は自他ともに認める親友となったそうです。

ミッションは続く


引用:OriHime eye | 株式会社オリィ研究所

眼球しか動かせなくなってしまうALS(筋萎縮性側索硬化症)患者さんの為に眼球の動きのみで意思伝達を可能にするデジタル文字透明板OriHime eyeを開発。

惜しくも2017年に亡くなった番田さんとのやりとりで「(吉藤さんに)コーヒーを淹れる体を作ってよ」と言われたことをきっかけに、寝たきりや育児中の人でもテレワークで身体労働をおこなえるOriHime-Dを発表、実際にOriHime-Dを用いた期間限定のカフェもオープンしました。

人との関わりで孤独を解消する。
体が動くか否に関わらず、心をどれだけ自由にしていられるか。
吉藤さんのミッションは広がり続ける。

ROBOT開発偉人伝#2 
〜古田貴之さん/千葉工業大学fuRo(未来ロボット技術研究センター)所長〜