ROBOT開発偉人伝
名前:石黒 浩 (いしぐろ ひろし)
生年月日:1963年10月23日
年齢: 56歳(2019年8月8日時点)
出身: 滋賀県出身
生年月日:1963年10月23日
年齢: 56歳(2019年8月8日時点)
出身: 滋賀県出身
経歴
助手~教授を経て、現在はATR石黒浩特別研究所客員所長、大阪大学栄誉教授に就任。自分そっくりのロボットを制作して世界を驚かせるなど、ヒューマノイド/アンドロイド研究のトップを走るロボット工学者の1人。
1986年 山梨大学 工学部 計算機科学科 卒業
1988年 山梨大学 工学研究科 計算機科学専攻 修了
1991年 大阪大学 基礎工学研究科 物理系専攻 修了
1992年 基礎工学部,助手,専任
2002年 工学研究科,教授,専任
2005年 工学研究科 知能・機能創成工学専攻,教授,専任
2009年 継続中,基礎工学研究科 システム創成専攻,教授,専任
2013年 未来戦略機構,第七部門(脳認知システム学研究部門),兼任
2017年 継続中,大阪大学,栄誉教授,兼任
2019年 継続中,大阪大学,先導的学際研究機構 共生知能システム研究センター センター長,兼任
受賞歴
・ギネス世界記録(遠隔操作型アンドロイド「ジェミノイド」、成人女性型アンドロイド「リプリーQ2」が背世界初の実物そっくりなアンドロイドとして記録樹立)
・CNNの「世界を変える8人の天才」に選出
・英国のコンサルタント会社が選んだ「生きている天才100人」で日本人最高の26位に選出
・著しい研究業績を創出した世界に誇る研究者に贈られる称号である「ATRフェロー」を授与される
・大阪文化大賞2011を受賞
・文部科学大臣表彰、及びナレッジ普及に貢献した国政的人物に贈られるシェイクムハンマドビンラーシドアールマクトゥーム知識賞を受賞。
石黒さんが世界的に評価される独創的な研究成果を築き上げた根幹には、人間とは何か?という哲学的な究極の問いがあるようだ。一体どのような形でロボットに興味を持ち、研究者への道を歩み続けたのだろうか?
少年時代に絵や日記で培われた想像力・集中力
幼い頃の石黒さんは、画家になりたいと思っており、特に小学校低学年の頃は、授業中も先生の話を聞かずに絵のことばかり考えていたという。小学3年生になると興味の対象は日記へと移り変わり、1年間で段ボール1箱分もの日記を書き上げるなど、創作意欲の旺盛な少年時代。
中学校に上がると読書にも興味を持ち、本を読み漁り、さまざまな知見や感動を吸収した。高校に入っても読書意欲はそのままに、好きだった太宰治や川端康成を中心多くの本を読み、小説の描き方の勉強としてその構造を学ぼうとも思ったそうだ。
ここまででもわかるように、1つのことに夢中になるとそればかりになってしまい、疑問を解決するまで大人に質問し続ける性格だったようで、石黒さんの独創的かつ留まることを知らない研究成果を支えたのは、小さい頃から磨き上げてきた想像力と集中力だと言える。
絵に見切りをつけ、ロボット工学研究者の道へと踏み出す
出典: http://www.geminoid.jp/ja/
石黒さんはその後、好きな絵を学ぶために美術大学へ行くことも考えたものの、当時普及し始めていたパソコンにも関心が湧いたことで工学部に進学することを決定。さらに関心の対象は、コンピュータから人工知能・ロボットへと広がっていき、実体を持たないコンピュータの認識の幅や人間とは何かといった問いを持つようにもなった。
幼い頃から好きだった絵を描くこととコンピュータを扱うことを重ね、深く学ぶにつれて絵を描くためのキャンバスと人間を再現するためのロボットに差がないと思うようになり、現在に至ったそうだ。石黒さんは、研究者の道に進んだことで思い浮かぶ疑問や湧き続ける興味をストレートに追及できたと語る。
少年時代と同様に、人間らしいロボットを造りたいという気持ちとそのために必要な学びを追及してきたことで、世界を驚愕させる自身にそっくりなアンドロイドを開発したといっても過言ではないと言えるだろう。
ロボットの普及はさらに進み、身近な存在になる
技術革新が進む昨今、すでに介護施設・接客業などの現場では、高齢者の話相手になるロボットや簡単な接客業務を担当するといった形で活躍している。石黒さんは、介護施設利用者の情緒を安定に繋がるなどの研究結果も出ていることから、コミュニケーションが取れるロボットの普及はさらに進んでいき、近い将来は身近な存在になる。
人間型ロボットのコストはまだ高いが、時代とともに発展するIT技術によって量産され、もっと安くなっていけば、急激に世の中を変える可能性もあり、観光ガイド・レストランなどでオススメを紹介するロボット、読み聞かせや授業を行えるようになれば、大きな影響力を発揮できると語る。
ガラケー社会からスマホ社会へと急速に移行したように、ロボットがすぐそばにいるのが当たり前になる日も近いのではないだろうか?
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