熱中症(WBGT)と換気(二酸化炭素)の見える化でバランスのとれた室内環境を提供
常陸興業株式会社(本社:茨城県つくば市、 代表取締役 増田智則 以下:常陸興業)は、2020年6月16日より新型コロナウイルス感染対策として「換気お知らせキット」および夏季の熱中症対策として暑さ指数を表示する「熱中症予防キット」を、常陸興業が指定管理者として管理業務を行なっている「つくば市ふれあいプラザ(以下ふれあいプラザ)」に導入しました。
ふれあいプラザの軽運動室と多目的ホールに、無線式の温湿度センサーと二酸化炭素センサーを設置。温湿度センサーから取得した計測値から暑さ指数とよばれるWBGTを算出し、事務室のパソコンで常時監視が行えます。WBGTが上昇する傾向がみられた場合に適切な対応を取ることが可能になります。さらに適切な換気が行われているかを数値で「見える化」するために、室内の二酸化炭素濃度の常時監視を行うことで、バランスの良い熱中症の予防と換気の実施を実現しました。
コロナウイルス感染防止の観点から、室内でもマスクの着用が推奨される一方で、マスクの着用が熱中症リスクを高めることが多数報じられています。WBGTは暑さ指数とよばれ、熱中症患者発生率との相関性が高いとされます。室内のWBGTが上昇した場合には、早めに空調を強めたり、適切な休憩をいれて室内の滞在人数を減らすなどの措置がとれるようになります。
同様にコロナ感染防止対策として室内の適切な換気が推奨されていますが、換気の回数などが目安で示されるものの、本当に必要な換気が行えているのか不安です。またふれあいプラザの多目的ホールのように広大な空間に対して、開口できる窓や出入口の面積は狭く、さらに夏季に必要以上の空気を入れ替えることは、空調の負荷をいたずらに増大させてしまうため、上に述べた熱中症のリスクが高まってしまいます。
これに対し厚生労働省は改めてコロナ感染防止対策として、ビル管理法に基づいた数値を基準として換気を行うことを、特定建築物に該当する場合には義務とし、また特定建築物に該当しない場合であっても「基準に従って当該建築物の維持管理するようにつとめなければならない」という努力義務を課しています。
この基準値のうち二酸化炭素濃度は、1,000ppm以下とされています。センサーの設置によって、室内に滞在する人間の活動(呼吸)の結果として発生する二酸化炭素濃度を常時監視することによって、熱中症予防と同様に、室内の密閉度合いを「見える化」し、設備と利用者への対応を先行して実施することが可能になります。
また、二酸化炭素濃度やWBGTはWebアプリによって、いつでも、どこでも監視ができる利点を活かし、日常的に忙しいふれあいプラザの職員による監視に加えて、指定管理者である常陸興業のオフィスにおいても遠隔監視が可能です。さらに計測値などが予め設定した閾値を超えた場合には、館内の施設管理者や設備管理担当者に電子メールによるお知らせが届くので、確実な現場対応が可能です。
① 軽運動室において10名で予約のグループが13時より利用を開始。
14時30分すぎから二酸化炭素濃度の上昇が見られ始めた。上昇傾向が継続したためにふれあいプラザ職員は、利用者に注意喚起による「声かけ」を実施。数分後に計測値がピーク(1,016ppm)となったが、1,000ppmを大きく超えることは無く、以後は濃度が低下し良好な状態を保つことが出来ている。なお、「声かけ」後に室内温度の低下がみられることから、利用者は休憩を取るなどして、室内の滞在人数を減らしたものと思われる。また、空調によってWBGTは良好な数値を保っている。
② 軽運動室において5名で予約のグループが17時より利用を開始。
利用開始直後より二酸化炭素濃度の上昇がみられ、約30分後に「声かけ」を実施。
以後①と同様の状況であった。
③ 多目的ホールにおいて音楽発表会を開催した。利用開始の約30分前より空調機を稼働させてホール内の室温を下げていたことが、温湿度およびWBGT値の推移から確認できる。
発表会開始直後より二酸化炭素濃度は緩やかに上昇を続けたが、基準の1,000ppmを上回ることなく発表会を終了している。利用者とふれあいプラザ職員による事前の打ち合わせによって、当初は1回の予定だった休憩を2回に増やすなど、双方の協力による効果が大きかったようだ。今後は、休憩時間帯に二酸化炭素濃度が低下するまで数値をモニタリングしながら、換気を行うなどの対応が考えられる。
また、利用届け時間後に僅かな二酸化炭素濃度の上昇が認められるが、ホール内の撤収・片付けによるものと思われる。
④ ③の多目的ホールの利用では、発表会開始から1時間40分ほど経過した後にWBGT
の上昇がみとめられる。③で述べた休憩時間による換気の影響と思われるが、このような挙動について今後、利用状況の変化と計測数値の推移について注意深く観察する必要がある。
⑤ 利用者の退室直後には空調停止し、戸締りをするのが慣習である。しかし、軽運動室の二酸化炭素計測値を観察すると、利用開始前の状況である500ppm以下程度に戻るまでに3時間ほど要している(⑤および⑤’)。今後の運用と計測値を注意深く観察する必要があるが、同じスペースを連続して利用するなどのケースを想定すると、利用者の退室直後には、むしろ扉や窓を開放して、室内の空気を積極的に入れ替えるなどの施策が必要になると思われ、このような運用を行うためにも主要なスペースについて二酸化炭素濃度を常時監視することは、有効であるといえる。
なお、センサーが取得した計測値をクラウドサーバーに送信するプロセスを、最新のLPWANであるZETA(ゼタ)通信を採用しました。ZETAは乾電池駆動の中継器を利用したマルチホップやメッシュアクセスを特徴とし、複雑な建築物内であっても通信エリアを柔軟に広げられるだけでなく、双方向通信によってサーバーからセンサーへの命令実行や、圧倒的に高いデータの送受信率を実現します。
また、デバイスの設置は非常に簡単かつ安価で、今回のふれあいプラザでの設置作業はセンサー周りの電気工事の必要がなく、僅か3時間で機器設置からセンサーの通信確認までを完了しています。
さらに今回採用した「換気お知らせキット」「熱中症予防キット」は、クラウドサーバーに取得した各種の計測値を、より簡便にわかりやすくユーザーに伝わるように、工夫がされています。これが株式会社テクサー(本社:東京都港区、 代表取締役 朱 強)が開発したZETA App Kitです。WBGTや二酸化炭素濃度はPCモニタ−上にわかりやくタイル状でカラー表示される他、管理者などへのアラートメール送信が標準装備されています。
【常陸興業株式会社 概要】
社名 : 常陸興業株式会社
本社所在地 : 茨城県つくば市田中1113
創立 : 1980年1月25日
資本金 : 1000万円
代表取締役 : 増田 智則
営業品目 : ビル総合管理サービス業
エコチューニング事業
指定管理者事業 他
ホームページ:https://www.hitachikogyo.co.jp/
【株式会社テクサー概要】
社名 : 株式会社テクサー
本社所在地 : 東京都港区芝2-5-19 ITOビル5階
創立 : 2016年10月21日
資本金 : 1億589万円
代表取締役 : 朱 強
主な事業内容: 低消費電力広域ネットワーク(LPWAN)応用システムの開発と販売
インドア・ナビゲーション応用システムの開発と販売
スマート・センサエッジ・システムの開発と販売
ホームページ: https://techsor.co.jp