ロボットマート八丁堀店の運営戦略とは

ロボットマート外観

ロボットマートは八丁堀駅のA2出口を出てすぐ目の前に店舗を構えている。

ここは、東京オリンピック開催で外国のお客様の来店が予想された土地でもあり、お会計はすべてキャッシュレス決済である特徴が活かせるとされていた。しかし、東京オリンピック開催延期の影響を受けたものの、非接触需要の高まりで注目は落ちなかったという。

通り沿いに面している店舗で、入口が中二階にあることから交通量の多い銀座方面に向かう方の目に留まりやすい位置にポップやロボットを設置し、看板の位置にもこだわったという。

店内を見ると多種多様な商品とロボットが目に入る。

開店から1年経つこの店舗は、商品の入れ替えの頻度を多くする工夫などにより、時間を掛けて知名度を上げていっているという。来店客は意外にも30代~50代の女性や親子連れが多いそうだ。

今回、ロボットマートについて紹介するべく店長の小川さんにお話を伺った。

ロボットが勤務するお店

ロボットマートという店舗名の通り、店内には約12種類ものロボットが勤務し展示されている。

店舗へ入る前には、「ビッグクラッピー(バイバイワールド株式会社)」が出迎え、レジの横では「モスペンくん3号(株式会社モスペン研究所)」と「Tapia(株式会社MJI)」との会話が楽しめる。

ロボット体験スペースもあり、実際に手に取って遊ぶことも出来る。

プログラミングが学べる「toio(ソニー株式会社)」や英会話ができる「Musio X(AKA株式会社)」といったロボットが体験可能だ。またロボット作成キットの「ELEKIT(株式会社イーケイジャパン)」は店舗で遊べるだけでなく、実際に購入できる。

その中で一番の人気は「フォロ」というキットだそう。足元のセンサーが反応し動くロボットで、工具さえあればパソコン不要で作成できるといった点が人気を集めているという。ここではオリジナルのロボットマートカラーの「フォロ」を見ることができる。

そんな多くのロボットを取り扱う小川さんが中でも注目しているのはOrihimeだという。ロボットマートでは展示のみだが、Orihimeが活躍するカフェで実際に障害をお持ちの方や高齢者が活躍できる仕組みは素晴らしいと話した。

ロボット教材と地元の子供たち

ロボット体験スペースがあることや親子連れのお客様が多いのは、店舗の近隣に小学校が2~3校あるという理由がある。

2020年度に小学校でプログラミング教育が必修化されたことを受け、科学・技術・工学・数学などの理数系科目と芸術分野の科目を重視するSTEAM教育に注目が集まっている。そこで子供だけでなく、保護者(教育者)にも体験してほしいという思いから、STEAM教育関連のロボット教材の取り扱いに力を入れているそうだ。小川さんはプログラミングを勉強する子供たちも大変そうに感じるが、実際はその内容を質問される親御さんが一番大変なのではないかと話した。

ロボマ内ポップ

取り扱っている教材は、「フォロ」のようにパソコン不要で作成できるものだけでなく、ソーラー電池で動くものやパソコンに接続しプログラミングできるキットもあるという。陳列棚には難易度や作成時間が分かりやすく紹介されたポップが掲示されていた。取材中、教材のポップを熱心に読んでいるお母さんの姿を見かけた。

今後は学童などに声掛けし、取り扱い教材を使用しながらプログラミング教室などを開催したいと話す。

多種多様な魅力溢れる商品の数々

店舗には豊富な種類の商品が調味料やお菓子、生鮮食品やパンといったジャンルごとに分けられ陳列されている。

開店当初は以前の店舗である日本橋店のような、オフィス街で需要が高い袋菓子やカップ麺、ペットボトル飲料などといった一般的なメーカーの商品を取り扱い、種類ももっと少なかったそうだ。当時は展示ロボットだけ見てお客さんが帰ってしまうことが多かったという。

しかし、店舗スペースの拡大もあり、利益を考えなければならないと感じ、現在のような多種多様な商品ラインナップになったそうだ。そんな商品は百貨店でセレクトした商品だけでなく、小川さん自らがバイヤーとなり八百屋やパン屋、ロボットメーカーと掛け合った商品も取り扱われているそうだ。

これについて、小川さん自身、難しいと感じることも多いのだという。

例えば、今まで取り扱っている商品も多く、新しい商品を探すのも大変だという。商品についても、期限切れで空けた棚に新しい商品を陳列すればいいという訳でもなく、その商品の認知度を上げるために3サイクル程続けて入荷・販売するといった工夫をされているそうだ。だが、思いもよらぬ商品がよく売れるなどの発見があることは楽しいと話した。

ロボットアームの自動コーヒーマシン

元々はコンビニなどにも設置されているようなコーヒーマシンを導入予定だったが諸事情で借りられなくなってしまったところに、現在使用しているマシンの話が舞い込んだという。当初予定していたものよりもロボットを絡められるようになったこともあり、導入を決めたそうだ。

サービスがスタートしたのは2021年の4月からだが、調整に3か月程掛かったという。提供されているメニューの種類や牛乳の量などの味はロボットマート特注のものであり、何度もテイスティングし味や価格帯などの設定に苦労したそうだ。小川さんもどれがどんな味だったか分からなく程テイスティングしたという。

また使用しているコップが出てくるシステムも3Dプリンタで専用に作成したそうだ。

全て自動でコーヒーを淹れてくれるように感じるが、牛乳や氷などの補充は認識できず、そこには人間の手助けが必要になるという。上手く人間とロボットが協働し運営されているようだ。

筆者もコーヒーマシンを実際に体験してみた。


また1年後に取材に来てほしい

小川さんはこれまでを振り返ると「コロナ禍ということもあり、通常と比べると短い1年に感じた」と話す。模索し続けた1年でコーヒーマシンの導入や豊富な商品ラインナップにより、目新しいものが増える店舗へと成長中である。一周年特別企画として、購入者へほうじ茶のプレゼントを実施したそうだが、なんと入荷していた100袋が2週間でなくなったという実績が積まれた。

小川さんは「これからが楽しみだと言っていただけているうちに進んでいき、ずっと楽しみのままで終わってはいけない」と話した。

今後はバレンタインや卒業・入学などの季節のイベントに合わせた商品展開やイベント事を考えているそうだ。

また人間にしかできないこととロボットでもできることが上手く共存できればいいと話す。

そして小川さんは「また1年後に取材に来てほしい」と微笑んだ。ここからお店がどうあれるかが肝心だそうだ。

あなたの地元の特産品を見つけてみて

ロボットマートではプチアンテナショップとして、多くの都道府県の商品を取り扱いたいと話す。

小川さん自身、愛知県に20年間暮らしていたそうだ。東京に出て初めて愛知県のアンテナショップが無いことを知り、特産品を仕入れたいと感じたそうだ。お客様と「その土地を知っているからこそのコミュニケーション」を取ることができれば購入にも繋がるのではないかと話す。

あえて有名な都道府県ではなくアンテナショップに行かなければ買えないような土地を選び、その地元の人しか知らないような商品を仕入れたいという。旅行ができない今だからこそ来店し地元の商品を見つけ、買えると知ってもらいたいと小川さんは話した。


ロボットマートリンク:https://robotmart.jp/
住所とアクセス:東京都中央区八丁堀4-9-13 ニチレックビル1F
※八丁堀A2出口より徒歩1分
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