スケルトニクスの特徴はその外観と大きさ。全長3m、40キロにもなるそのスーツを人間が纏い、まるで巨人になったかのような感覚が味わえる。活躍の場は日本のみならず、海外からの受注も数多くある。
さらに、第2機となる新製品の開発も行なっている。安住することなく、攻めの勢いを止めない、廣井氏のこれまでと同社のこれからに迫る。
代表取締役 廣井健人
和歌山県出身
1992年11月30日生まれ
ロボットに憧れて、ロボット系のベンチャーに就職。
-2016年 アンドロボグループに入社。
設立して9年のベンチャー企業にエンジニアとして入社、入社直後はロボットとは関係の無いネットワークの保守案件から業務を始めた。しかし”ロボットが作りたい!”という思いが強く、社長に企画案を週に2回は提出していた。
ロボットに対する情熱は誰よりも強かった。
続けたアプローチが叶い、会社で製作していたロボットの営業担当に。ロボット情報を発信するメディアの立ち上げにも関わった。
-2017年 ロボットレストラン入社
次に転職した先は、観光客から訪日外国人にも大人気のロボットレストラン。営業として、ホテルや旅行代理店との打ち合わせをし、観光客向けのパンフレット作成やパッケージツアーを企画してもらったり、海外からの取材対応も経験した。
ファッションショーへの出演依頼を受けるなどの仕事もあった。
そして、スケルトニクス株式会社へ
-2018年3月スケルトニクス株式会社入社。
いち社員として入社した廣井氏。当時の代表が開発に専念するということで、入社から9ヶ月というスピードで代表取締役に就任した。
当時、スケルトニクス初期開発メンバーの一人である技術者・阿嘉氏がCEOを兼務していたが、技術に集中するために優れた営業を探していた。
そこで廣井さんの今までの経歴と実績が認められ異例のスピード任命となった。
外骨格ロボットスケルトニクスとは
- 名前:スケルトニクス
- 製造会社:スケルトニクス株式会社(Skeletonics Inc.)
- 使用方法/タイプ:人間が乗って操縦する、二足歩行型の人体機能拡張ギア
- デビュー:2011年(初号機)
- 身長/体重:3m級 40Kg(+使用者重量)
- 特徴:電気を使わない特許技術「三次元閉リンク構造」
- 価格:500万円(税別)からオーダーメイドほか、レンタル有り
ロボットなのに電気を使わないという驚きの構造。
それもそのはず、実はスケルトニクスは腕や足の動きに追従して動くリンク機構を用いて四肢の動作すべてを拡大し、通常の人体では表現できないダイナミックな腕や足の動きとパワーを実現できる「動作拡大型スーツ」なのだ。
スケルトニクスの語源は”Skeleton”(骨格)と”Mechanics”(構造)を組み合わせた造語であることからも、ロボットとは少し違うということが想像できる。
ロボットの種類と昨今の動向-コラム-
まず、ロボットと聞くと皆さんは何を想像するだろうか。ガンダム、エヴァンゲリオン、パトレイバー、鉄人28号・・・と、年代により種類は様々だが、いずれにしても人が乗り込んだりコントローラーで操縦をするアニメの世界を想像する人が多い。
しかし、昨今ではロボットを取り巻く環境にも変化があり、日常生活にも深く関わっている。産業用ロボットに関しては世界販売台数は2013年から2017年の5年間で2倍に増加しており、今後も年平均14%増加の見込みといわれている。(2019年度経済産業省調べ)
IT化が進む現代では、少ない人材でこれまで以上の生産性を生むためにロボットは注目されており、また世界のロボットの6割弱が日本メーカー製。
日本は世界一のロボット生産国なのだ。
また、ロボットの種類も多種多様あり産業用以外にも、人間と自然なコミュニケーションを取る機能が重要視されるエンターテイメントロボや家庭用ペットロボなど安全性やコミュニケーションが求められるロボットの需要も増えている。
スケルトニクスは海外の反応も好印象
営業としてスケルトニクス株式会社に入社後、まずは乗る人を増やそうということで募集をしたところ、海外からもパフォーマーが集まってきた。
台湾とアメリカと代理店契約をし、移動式遊園地や某テーマパークでパフォーマンスをさせてもらえることに。
その他、イギリス、香港、ドバイなどへ輸送、販売。
使い方は本当に様々で、ツアーでダンサーが使ったり、イベントに登場したり、世間に”スケルトニクス”の存在が少しずつ知られるようになってきた。
スケルトニクスの用途、エンターテイメントとしての可能性
ロボットのような見た目のスケルトニクスだが、動力が電気ではなく人力となり着た人の動きをダイレクトに伝え手足を動かせる。そして股関節を中心として着用した人間の動作を上半身で2倍、下半身で1.5倍程度に拡大することができる。
人間の手足の細かな動きを維持したままパワー増強させるアニメの世界から飛び出したようなスーツは、実際以下のような用途で活躍している。
- 展示会、博覧会
- サイエンスショー
- ロボット製作教室、講演
- イベント、コンサート(第65回紅白歌合戦に出演)
- TVCM、各種TV特集に出演
3m級の巨大なスケルトニクスは屋内外どんなイベントでも人を引き付け、普段味わえない非日常感を演出している。
エンターテイメント分野で一番のロボットを目指す。
物自体はより軽く、より簡単に着脱できるようにしたい、という廣井氏。
ロボット分野としては、コミュニケーションや介護、医療という分野で様々なロボットが生み出されているが、マーケットとしては衰退傾向にあるという。
スケルトニクスの今後を伺うと
「エンターテイメント系に振り切って、”楽しい”を作ってファンを増やしていきその他産業をも引っ張って、ロボットに関わる人を増やしていける、そんなロボットになっていきたい」
そう語る若き代表、廣井氏からは何度も企画書を提出していた駆け出しのエンジニア時代からなんら変わらぬロボットへの情熱を感じた。
関連リンク
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スケルトニクス株式会社
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